山と渓谷社 1982年
なぜ、山に登るのか? と云う問いに、そこに山が
あるからだ、と云うのは全く答えになっていない、
と云う教育を受けた僕に、手指や足を失うハメに
なるのになぜ山に登ろうとするのか、その気持ちなぞ
判ろうはずもない。
この本は、たった一人の生還、佐野三治氏の本に
出ていたのだが、丁度、手に入ったので読んでみた
と云う次第。専門用語がばんばん出て来るのだが、
それが一体どういった役目を果たし、どういう形状
をしているのか、どのような行動を指すのか、
皆目見当も付かないので、雰囲気で納得し、読み進
めることにした。
菅原氏と云うザイル仲間を見捨てて、山を下りたらしい
のだが、それを芥川龍之介氏の蜘蛛の糸に見立て
胃穿孔の痛みと悔恨を文学的に表現した箇所は読み応
えがあった。
松田氏のひとり息子(意味、分かるよね?)は無事だった
と云うことで何よりであった。松田氏は未だ山に登っている
とのこと。不死鳥の如き根性、さすがっす。
(読了日 2025年1・31(金)23:00)
(鶴岡 卓哉)
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