蓼喰う虫 谷崎潤一郎
「私小説」か否かということだか、僕はあまり
そう云うことには関心はない。この作品では
お互いに夫婦生活のない夫婦が両人とも浮気を
していて、別れる別れない、という話だが、一見
理性的な関係に見えるその実、なかなか別れら
れないところに、旧的な夫婦のありようから完全
に脱却し切れない。浄瑠璃などの批評も加える
ところなど、現代的になりきれない、何か煮え切
らないところがあって、あの時代に生きた谷崎の
苦悩のようなものが良く分かる。
「私小説」か否かということだか、僕はあまり
そう云うことには関心はない。この作品では
お互いに夫婦生活のない夫婦が両人とも浮気を
していて、別れる別れない、という話だが、一見
理性的な関係に見えるその実、なかなか別れら
れないところに、旧的な夫婦のありようから完全
に脱却し切れない。浄瑠璃などの批評も加える
ところなど、現代的になりきれない、何か煮え切
らないところがあって、あの時代に生きた谷崎の
苦悩のようなものが良く分かる。