古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

感情の果てで   鶴岡 卓哉

2021-05-09 10:24:01 | 詩・ポエム

感情の果てで     


本当の知覚を覚悟したその時には僕は老い

混沌に満ちた小さな部屋で煩悶の最中に

身悶えながら、外の景色を眺めながら、絶命の予感を覚える

そこに死を感じ得るときこそ、僕は最終任務を感じる

この世界の廃墟を前にして新たな人間の清廉なる任務を胸にする

息絶えながら、廃墟のような焦土の中で

新たな生を受けた時のような感動を覚える

不法の池に飛び込むような自由さを感じるべき時なのだということを


 

もうこんな時間か。出前に行かなくちゃな。仕事仕事ッ。

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非常出口の階段    古川日出男

2021-05-08 12:42:49 | 本の紹介

河出書房新社   2017年

 

これはきっと掌編小説集というのではないだろうか。

 

奇妙な作風のオリジナリティのある作品が並ぶ。

 

このひとの名前は他の作家さんの作品のなかで幾度か

 

拝見して、一度読んでみたかった。よくわからないものも

 

あったが、掌編小説だという認識がなく、読み始めたので

 

えっ、これで終わり? という感じだった。

 

けっこう楽しく読めた。心に残ったのは、ウォーターメロン

 

ガーデンとヌードルを奪う猫たち。

 

ヌードルを奪う猫たちは、誰もいなくなった世界で、動く気

 

配がして、見ると、猫たちが温かなスパゲッティだかパスタだ

 

かを奪うように飢えた猫たちがいる、という。

 

非常出口とは非日常への入り口のことかもしれない。……合掌。

 

 

 

グルメなわしにうまいものを食わせろ! しけた煎餅なんか、もうイヤじゃ。手焼きの醤油の風味の利いたバリッとした煎餅を食わせろ! あっ、わし、歯が悪いんじゃった。

 

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来る日 去る日   檀一雄

2021-05-07 11:14:51 | 壇一雄

皆美社。


エッセイ集。詩人と死からはじまる。死は生まれ出るとき


本当の価値があるという。ヴェート-ベン礼賛から、庭に


来るウグイスの話まで。表題作の来る日去る日はポルトガ


ルのサンタ・クルスに逗留していた頃の話。檀先生の早死


にの原因は、この海外逗留にあったと僕は思う。海外にそ


んなに行っていたら体もおかしくなるだろう、と思われる。


檀先生と言ったが、この人は、愛人は作るし、家に帰らな


いし、好き放題したひとである。人間としては尊敬できな



いけれど、作家としては一流であった。(一度、2016

 

年に投稿したが、削除していた。)

 

 

現在のガレッジ古本カフェです。おもしろい本があると思うので、じっくりと見ていってくださいネ。値段は30円~。文学が最高におもしれえんだよ、をモットーにやっております。よろしく。

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熱病の太陽     鶴岡 卓哉

2021-05-06 11:11:30 | 詩・ポエム

熱病の太陽     ・希木谷  瞬吉



灼熱の太陽に僕は宣戦布告する

その眩しき輝きに僕は凶器を突き立てる

僕は太陽と対峙し

クラクラとするその閃光に僕は拳を食らわす

熱で溶けそうな苦痛にのたうち回りながら

一人熱病と共に寝床の中で太陽と戦うのだ





ぼかぁね、夢を見んのが趣味なのさ。夢の中では、コーラのかぶ飲みサ。ゲッ、いや、失礼。






 
 

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買物71番勝負      平松洋子

2021-05-05 16:02:42 | 本の紹介

中公文庫   2007年

 

正直、はじめ読み進めていったとき、物欲にまみれていて

 

イヤだなあ、と思った。ぼくはたべものに対する欲求は

 

認めるけど、物欲というのがようわからんのだ。

 

なんか汚いものを見せつけられるようで。イヤだった。

 

気分を変えて読んでみると、文章はうまいし、ユーモア

 

もあるから、楽しく読めたんだけど。

 

それ、でも、お高いんでしょう? という言葉も聞こえて

 

きそうだ。高くて、いいものは当たり前だ。安くて、いい

 

ものを探すのがぼくの信条だ。安くて、うまいものを食った

 

ときの喜び、100円本でもおもしろい本を見つけたときの

 

喜びを、平松女史にも教えて進ぜたい、と切に思う。……合掌。

 

 

 

最近、拙者はねぎっこ焼きなるものにハマっておる。安くてうまし、これぞ、広島B級グルメの真骨頂、広島ねぎを使っているので、うまいのであるな。君もどうだい?

 

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囁き     鶴岡 卓哉

2021-05-04 10:25:40 | 詩・ポエム

囁き     

 

 

僕の阻害された頭の外部で女達が囁く

僕のその言葉の真偽に戸惑わされることなく

整頓された分裂のただ中でじっと身構える

もう、ここから出られることはないだろう、とか

ここにはもう灰ジンとなった言葉しか存在しない、とか

ここから立ち去るべきなのかも知れないが僕は雁字搦めになった檻の中で

身じろぎもせずジッと言葉の意味も省みず吐き出す

ここに僕が存在したという実証は何もない

ただ、僕は雲を掴むような曖昧な実証の前に立ち竦み

自分の脳の中で行われる狂騒に身を任せるが

実際には僕は囚われているだけだ

逃げ出すことを考えてもいるが僕は自分自身から逃走する手段を知らない

僕は戦うことをしないだろう

僕はただ耳を傾け、そこにいるだけのことしかできないのだ




おいらの夢? そりゃ、世界を救うことだニャ。世界はおいらにしか救えないニャ。おいらはスーパーヒーローだニャ。えっ? そうニャ、夢見ちんだニャン。


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336       鶴岡 卓哉

2021-05-02 10:32:45 | 詩・ポエム

336    



休日に僕は彼女にメールを打つ

あなたの顔はもう見たくない、と

全てに別れを告げて僕の目指したのはハイになることだ

ハイヤーとなることだが僕の鼓動は静かに刻む

ビートの動きは何となく派手でいやらしいし

彼女は今頃怒ってんだろうな

それとも心配してるかも知れない

でも、返信はない

結構捨て去ることは簡単なのかも知れない

それに、僕は後二週間で死んでしまうんだし

病気って結構人を簡単に殺すんだな

僕は善人ぶって死ぬつもりはない

ただあくまで自分として死にたいだけなんだけどさ




すべてがうぜぇわ! おいらは大将、あんたも大将、って、なにが言いたいんだっけかなあ。つまり、おいらは幸せだったってことだよ。あぁ、あの午後の風の気持ちよかったことったら……。

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ルーズ    鶴岡 卓哉

2021-05-01 10:36:33 | 詩・ポエム

ルーズ    

 


僕の全生命を賭け掛け金をレイズする

敗れ去った僕の破片を拾ってくれよ

太陽の静かな嘆きが僕の敗北を笑うんだ

その微笑が僕を傷つけ破れかぶれにするのだ

喧噪が僕の頭痛を更に酷くする

頭痛のまま死ぬのはイヤだな、とか

負けちまったんだから仕方ないです

理由なんてわかんないです、それにチャンスはラストじゃないし

太陽はまだ輝いているし

僕の心臓は高鳴っているんだしね

未だ街はざわついて人はどっかにせっせと歩いていく

僕の頭痛はかなり酷い、吐き気もするし、目も充血してる

これが敗北の意味なのだと

悟ったりするのは明日の早朝なのだろう



瀬田但・苔玉・蔓かごと鶴岡たか、草木染めスカーフ展(詩とは、関係ありませんよ。2014年10月2日当時のもの)。今は、やっていません。この当時は、古本はやっていませんでしたね。趣味が高じて、古本屋になっちゃいました。

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