映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

メゾン・ド・ヒミコ

2013年05月29日 | 西島秀俊
自分らしさを貫く覚悟



            * * * * * * * * *


「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心監督、
そして脚本が渡辺あや。
というところで本作は、西島秀俊カテゴリからはちょっと外れたところにあるようだけど・・・。
そうなのです。西島さんは主役ではないし・・・。
でもこういう成り行きであっても、見てよかったなあ、と思える作品だったね。


メゾン・ド・ヒミコというのはズバリ、
ゲイの老人たちの住むホームなんだね。
沙織(柴咲コウ)の父親がそのホームを経営しているんだけど、癌で死期が迫っている。
沙織は母を捨てて出て行ったその父を憎んでいるし、
ゲイであることを軽蔑している。
父娘は全く音信不通になっていたのだけれど、
父の恋人である青年(オダギリジョー)がおせっかいを焼いて、
沙織にホームで働くようにと訪ねてくるんだ。


「オカマなんて気持ち悪くて、手も触りたくない」と公言していた沙織だけれど・・・
次第に、彼ら(彼女ら?)がこれまで周囲の無理解でどれだけ傷つけられてきたのか、
また、今でさえもホームの近隣から嫌がらせを受けているという現実がわかってくる。
そして、個性的なホームの人々、それぞれに、何かしらの魅力があるということも・・・。
ただ表面的にゲイを毛嫌いしていたけれど、
彼ら(彼女ら)をきちんと人間として見ることができるようになっていくんだね。
オダギリジョーがかっこよかったな~!
西島秀俊さん目当てでみたわけだけどさ、つい目移りしちゃったね・・・。
沙織と彼の気持ちが接近していくわけだけど・・・
その壁は乗り越えられるのかっ!?



「女に生まれ変わって、ステキなドレスを思い切り着たい」
というゲイの老人に、沙織はいいます。
「女だからってなんでも着られるわけじゃないよ・・・」
彼女はバニーガールには不適当と言われて傷ついたことがあるんだよね。
そうだねえ・・・性の違いだけでなくて、容姿的に似合うとか似合わないとか。
年齢とか。職業とか。
世間一般の規範みたいのはあるよね。
そんなの関係無いじゃん。自分が着たいものを着ようよ!
ということで、二人でコスプレごっこになったりして。
人がどう思おうと構わない。
自分は自分らしく。
そういう生き方がかっこよく思えるなあ。
そうだねえ・・・私ももう一度ウエディングドレス着てみたいとか・・・。
メイドスタイルしてみたいとか・・・。
はは・・・。まあ、誰も見ていない所でどうぞ・・・。
しかし、メイドスタイルはホンモノの家政婦にしかか見えないと思うけど・・・。


おほん。それで、西島秀俊さんの役回りは?
沙織の勤める塗装店の専務。
こいつが、誰彼構わず女に手をつけるという適当な奴。
けど、かっこよくはあるので、沙織もほんの少し気にしているフシもある。
でも、そういう奴だとはちゃんとわかっている。と。
が、このストーリーでこの人物がどういう役回りを果たすのか、
というのが謎で、後まで引っ張るのだな、これが。
で、最後のほうであ~、なるほどと思いました!!
だからまあ、美味しい役ではありますね。
オダギリジョーとのツーショットが微妙に緊張をはらんでいて、これがまたいいのだわねえ。
そうでした!!
それから柴咲コウは、不機嫌顔が似合うなあ~、と改めて思いました。
そうだね。彼女の不機嫌顔は、なぜかこちらの気分を落ち込ませないような気がする・・・。
乱暴な口の聞き方しても、さほど嫌な感じがしない、というのがいいんだよねえ。
こういうのを天性っていうのかもしれない。
もって生まれたもので、真似できないもの。

出演者の魅力も相まって、いい作品でした~。

メゾン・ド・ヒミコ 通常版 [DVD]
オダギリジョー,柴咲コウ,田中泯,西島秀俊
角川書店


「メゾン・ド・ヒミコ」
2005年/日本/131分
監督:犬童一心
脚本:渡辺あや
出演:オダギリジョー、柴咲コウ、西島秀俊、田中泯

自分らしさ度★★★★★
西島秀俊の魅力度★★★☆☆
満足度★★★★☆