映画と本の『たんぽぽ館』

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真実

2019年10月17日 | 映画(さ行)

カトリーヌ・ドヌーブが貫禄を見せる

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注目の是枝監督海外進出作品。

 

フランスの国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)が自伝を出版し、
そのお祝いということで、ニューヨークで暮らす娘・リュミール(ジュリエット・ビノシュ)と、
夫ハンク(イーサン・ホーク)、その娘シャルロットがファビエンヌのもとを訪れます。

ところが、母がいかにも愛情あふれるようなありもしないエピソードを書いていることに憤慨するリュミール。
次第に母と娘の愛憎が浮かび上がります。

 

ファビエンヌは母という立場よりも女優の立場を優先させていたのですね。
母のライバルだった今は亡きサラという女優が、
幼いリュミールにとってはまるで母のように、よく彼女をかまってくれた・・・。
そんなこともありこの母娘は疎遠で、住んでいるところが離れていることもあり、
ずいぶん久しぶりの対面だったのです。
でも互いの違和感はこれまであまり口にしたことがなかったのだけれども・・・、
ここへ来て不満が爆発してしまいます。

 

そうではあるけれど、母親として娘に愛情がないわけはない。
そして娘も、今はずっと子供の頃から母が苦手だったと思い込んでいるけれども、
あながちそうでもなかった・・・ということも気づいていくのですね。

確かに是枝監督らしい、家族の物語なのでした。

この大女優のファビエンヌと、実際のカトリーヌ・ドヌーブが
実にうまく重なり合うところがミソです。

 

劇中劇としてファビエンヌが出演する映画の撮影風景が描かれています。
その物語はSFで、

病で余命宣告された母親が、宇宙で過ごすことにして、
7年ごとに地球に残した娘に会いに来るのです。
母親はいつまでも若い頃のまま。
ところが娘は子供だったのが大人になり中年になり、
そして最後に母の年齢を追い越して、老いてしまった。
その娘の役が、ファビエンヌ。
つまり最後には若き母と、老いた娘、年齢逆転した母娘の対面ということになります。

 

そこでファビエンヌ(=カトリーヌ・ドヌーブ)が見せる演技。
老いているのにファビエンヌの方がちゃんと娘に見えるのです。
素晴らしい!! 
さすが、カトリーヌ・ドヌーブって、思います。

 

かわいくて賢いシャルロット、そしてちょっぴり頼りない夫、
立ち位置がぴったりはまってナイス!

 

<シネマフロンティアにて>

「真実」2019年/フランス・日本/108分

監督・脚本:是枝裕和

出演:カトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、マノン・クラベル、リュディビーヌ・サニエ

 

母娘の確執度★★★★☆

豪華俳優★★★★☆

満足度★★★★☆