映画と本の『たんぽぽ館』

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1917 命をかけた伝令

2020年02月17日 | 映画(あ行)

兵士とともに戦場を駆ける

* * * * * * * * * * * *

本作、ずっと楽しみにしていました。
全編ワンカット、期待が高まります。



1917年、第一次世界大戦下、フランス西部戦線。
イギリス兵のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)は、
重要な伝令の任務に就きます。
それは最前線にいる仲間1600人の命に関わることで、急を要するのです。
その最前線にはブレイクの兄もいます。
急ぎ、二人は自陣をあとにしますが・・・

カメラはずっとこの二人に付き添い、二人と周囲の状況を映し出します。
まるで私たち自身も戦場にいて、この二人とともに歩いているかのよう。
臨場感、緊張感が半端ではありません。



兵士のひしめく塹壕。
死体が転がるぬかるみ。
爆弾の仕掛けられたドイツ軍の地下壕。
墜落してくる戦闘機。
廃墟の町。
花びらの舞い散る河川。
そして爆音とどろく最前線・・・。

次から次へと移り変わる光景がすべて実際に地続き。
まあ、実際には全編ノーカットというわけではなかったようですが、
それにしてもスタッフの困難・苦労が忍ばれます。
よくもまあ、こんなことを・・・。

そもそも、始め任務のために呼ばれたのはブレイクだったのですが、
誰かもう一人選べといわれたので、
たまたまそばにいた友人のスコフィールドと行動を共にすることにしたのです。
ブレイクは兄を助けたい一心でやる気に満ちているのですが、
スコフィールドは何で自分がこんな任務に・・・と不平顔。
だがしかし、皮肉な運命が彼らを待ち受けます。
ちょっとここは予想外で、驚かされました。



彼らに任務を下す将軍がコリン・ファース。
そして指令書を届ける相手の大佐がベネディクト・カンバーバッチ。
こういうところに大御所を使うという配役も心憎いです。
そして途中で手に入れたあるものが、後に役立ったりする。
RPG的なこういうストーリー運びも面白い。

あっという間にすぎた戦場の約2時間。
面白かった~!

ところでこのストーリーは、実際に伝令兵だったという
サム・メンデス監督の祖父の体験談を元にしているそうです。
本作のテーマとノーカット撮影という手法が、この上なくマッチしています。

<シネマフロンティアにて>
「1917 命をかけた伝令」
2019年/イギリス・アメリカ/119分
監督:サム・メンデス
出演:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、
   マーク・ストロング、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ

臨場感★★★★★
緊迫感★★★★★
満足度★★★★★