映画と本の『たんぽぽ館』

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シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢

2020年07月02日 | 映画(さ行)

ダメオジサンたちの夢

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スウェーデンに実際に存在する男子シンクロナイズドスイミングチームをモデルにしています。
シンクロナイズドスイミングは、現在「アーティスティックスイミング」と呼ばれていますが、
本作ができた時点ではまだシンクロナイズドスイミングだったようなので、
それで通させていただきますね。

うつ病で2年前会社を退職し、引きこもりがちに過ごしていたベルトラン(マチュー・アマルリック)。
地元の公営プールで男子シンクロナイズドスイミングのメンバー募集の貼り紙を見ます。
家族に疎ましがられている毎日を変えたいと思い、ベルトランはチーム入り。
ところが、メンバーはみなベルトラン同様に何らかの不安を抱えたさえないダメオジサン・・・。
そんな彼らがやがて無謀にも世界選手権に出場することに・・・。

男子シンクロナイズドスイミングと言えば、それはもう、「ウォーターボーイズ」ですよね!! 
あのときはポンコツの高校生の集まりのチームでしたが、それでも若くて元気でピチピチでした。
ところがこちらはもう、紛れもなくくたびれたおっさんたちです。
これってどうなのよ・・・とは思いましたが。



とにかくさえないおじさんたち。
何度やっても事業に失敗する男。
内気で女性経験がない男。
ロックミュージシャンの夢を諦めきれない男。
妻にも母にも見捨てられた男。
そんな彼らが、ともかくもゆるゆると練習を続けます。
彼らは自分たちのダメさを受け入れて、それでもいいのだ、と開き直っていくように見受けられます。
互いに愚痴を言い合い、同じ競技に取り組む楽しさがあれば、
自分の悩みばかりに囚われずに済む。
そうした効用があったのかもしれません。

一方彼らのコーチ、デルフィーヌは元シンクロ選手。
ペアを組んでいた相手が競技できなくなったことで自分も競技ができなくなり、
ヤケになってアルコール依存症に。
それはなんとか解決したのですが、どうも今は恋愛依存症になっているらしい。
通常はこのコーチの熱意にチームメンバーは引きずられていくという流れになるのですが、
どうもこのコーチはさほど熱心のようには見えません。
ところがその代わりに、彼女の友人アマンダがしゃしゃり出てきます。
車椅子の彼女はなんとも過激な言葉で彼らに檄を飛ばす。
なんとも小気味よいです。
もしかすると、彼女の罵声がダメ男たちの生き方自体にも喝を入れたのかも・・・。
理想を高く持つことは悪いことではないですね。

「ウォーターボーイズ」に比べると、やはりハツラツさやパワー、はじけた感じはないのですが、
年齢なりの充実した感じはあるようです。

<WOWOW視聴にて>
「シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢」
2018年/フランス/122分
監督:ジル・ルルーシュ
出演:マチュー・アマルリック、ギョーム・カネ、ブノワ・ポールブールド、ジャン=ユーグ・アングラード、フィリップ・カトリーヌ

おっさんたちのダメ度★★★★☆
満足度★★★★☆