小学生の時、教師に褒められて・・・
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棋士、瀬川晶司六段の自伝的小説の映画化作品です。
小学生時代、特になんの取り柄もなかった晶司。
唯一好きなのは将棋。
そんな彼が小学5年の時の担任(松たか子)に将棋のことを褒められた事から、
プロの棋士になりたいと思うようになります。
親友の鈴木と切磋琢磨しながら腕を磨き、プロ棋士の登竜門奨励会に入会を果たします。
しかし、ここで26歳までに四段に昇格できなければ退会、
すなわちプロの道は閉ざされてしまうのです。
晶司(松田龍平)は年齢制限の最後まで粘りましたが、ついに三段から上になることができず、退会。
これまで将棋以外のことは何も考えていない。
これまでの人生は一体何だったのか・・・。
絶望感に囚われる晶司。
結局彼は大学へ入り就職をし、今度はアマチュア界で活躍をします。
アマチュア名人となり、プロ棋士と対戦する機会もあって、それにもよい成績を収めます。
そんな彼の才能を惜しみ、これまでの規定を見直し、
プロ棋士への道を開くという働きかけをしてくれる人が現れ・・・。
「小学校の担任教師の一言が、その人のその後の人生を決定づける」という話はよく聞きます。
今期のNHK朝ドラでも教師の「人より苦労しなくても楽にできることが、才能だ」
という一言に励まされて、主人公は作曲家の道を歩むことになる。
そう考えると、やはり教師というのは貴重な職業なのです。
どうぞ一人一人をよく見て、よいところをほめてあげてほしい・・・。
さてそれにしても、26歳で将来への道をたたれてしまうというのは、なんとも残酷です。
小学生の時からすべてが将棋を中心に回ってきていたのに、
それが全否定される気がすることでしょう・・・。
でも、やり直すにはまだ遅くないという年齢でもあるところが、
もしかすると温情なのかも、という気もします。
晶司さんも、その後大学の法学部に入って弁護士を目指し、でもなんだかちがう気がして、
結局システムエンジニアの仕事をするようになったそうで・・・。
(いずれにしても、やはり頭のよい方なんですね!!)
でもこんな体験をしたらもう二度と将棋をやる気にならなくてもおかしくはないと思うのですが、
やはり好きなのでしょう。
仕事の傍ら、アマチュアで頭角を現していく。
何が何でもこれだけ・・・というプレッシャーがなくなったのも、よかったのかもしれません。
規則なんて、現実に合わせて柔軟に変えてけばいい。
そうしたところも、ナイス。
特に、将棋界という伝統にうるさそうなところで、よくぞ道が開けたものです。
若干何を考えているのかよくわからないという風の松田龍平さんが、
この役にぴったりハマっています。
親友でライバルの鈴木役が今NHK朝ドラ出演でも話題の野田洋次郎さん。
恥ずかしながら、RADWINPSの人というのも私、この朝ドラまで知らなかったもので、
こんなところで拝見してビックリ。
彼の主演作「トイレのピエタ」もまだ見ていないので、近いうちに見ることにします。
<WOWOW視聴にて>
「泣き虫しょったんの奇跡」
2018年/日本/127分
監督:豊田利晃
出演:松田龍平、野田洋次郎、永山絢斗、染谷将太、石橋静河、松たか子、イッセー尾形、小林薫、國村隼
奇跡度★★★★☆
満足度★★★★☆