ひたすらに自分の生きる権利を守り抜く
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「ランボー」のシリーズ最新作「ラスト・ブラッド」が公開になったところです。
というわけで、そうだ、「ランボー」を始めからもう一度見てみようと、安直に思った次第。
そもそも第一作目、原題が「First Blood」なんですね。
それと対応しての今回「ラスト・ブラッド」であるワケです。
ベトナムでグリーンベレーとして活躍したランボー(シルベスター・スタローン)。
戦友を訪ねて、とある田舎町にやって来ます。
ところがその戦友は戦争の後遺症ですでに亡くなってしまっていました。
失意の中で、とりあえず食事でも・・・と街に立ち寄ります。
ところが街の警察署長ティーズル(ブライアン・デネヒー)が彼に目をつけます。
ティーズルはランボーを不審者と決めつけ、いきなり署に連行。
初め無抵抗だったランボーですが、警官の虐待がエスカレート。
ついにランボーの我慢も限界に達し、
あっという間に署内の警官たちをたたきのめし、逃走を図ります。
ランボー1人に対して、無数の警官やら軍隊が出動。
次第に戦争のような有様に。
そんな中、ランボーのかつての上司トラウトマン(リチャード・クレナ)が現れ、
ランボーはどんな状況にあっても生き延びる特殊訓練を積んでいると語ります。
彼の説得で、事は収るのか・・・?
ベトナム戦争の英雄。
しかし、戦争が終わり帰還すれば、PTSDが襲い、周囲からは敬遠され職もない。
せめて戦友と語り合いたくても、誰も残っていない・・・。
こんな状況に加えて、この町ではいきなり不審者扱いの上に虐待。
そもそも何もしていないのに逮捕とは・・・!
あまりの理不尽さに、彼は怒り、震える。
その痛みが、ビンビンきます。
ランボーは周囲のものや警官たちの行動をただ映す「鏡」なのです。
相手がにこやかに話しかけてくれば、彼も明るく言葉を交わすだろう。
しかし、彼を傷つけようと暴力を振るえば、それは同じく暴力となって返ってくる。
銃を撃てば銃を撃ち返すし、命を奪おうとすれば、こちらも死を覚悟しなければならない・・・。
あの、権力をカサに着た警察署長の行動は、
過日の黒人のクビを押さえつけて命を奪った警官と同じ匂いがする。
人を肌の色や身なりで判断し、見下して、自分だけが正義だと思う傲慢さ・・・。
そうしたものたちへ、見事な反撃をするランボーに感情移入しますね、強烈に。
本作、ランボーはヒーローなんかじゃない。
ただ、自分の生きる権利を行使しただけ。
何者であろうと、それを踏みにじるヤツには容赦しない。
誰かのためにとか、誰かの頼みでではなく、ただひたすらに自分のため。
この単純だけれど大切なメッセージが何と言っても魅力的なのです。
たしか、シリーズのこの続きはそうじゃなかったですよね。
まあとりあえずそれを確かめるために、また続きを見ることにしましょう。
それにしても、シルベスター・スタローン、若いわあ・・・。
「ロッキー」も見たくなってしまいました!
Amazonプライムビデオにて
「ランボー」
1982年/アメリカ/97分
監督:テッド・コッチェフ
原作:デビッド・マレル
出演:シルベスター・スタローン、ブライアン・デネヒー、リチャード・クレナ
生きる力度★★★★★
満足度★★★★★