情熱が道を開く
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パン・ナリン監督自身の実話を基にしています。
インドの田舎町ニクラス、9歳のサマイ。
学校に通いながら、父のチャイ店を手伝っています。
父は厳格で、映画などは低俗なものと考えていますが、
信仰するカーリー女神の映画だけは特別として、家族で映画を見に行きます。
初めて経験する映画の世界にすっかり心を奪われてしまったサマイ。
それが忘れられず、後に映画館に忍び込みますが、
バレて追い出されてしまいます。
それを見た映写技師のファザルがサマイに声をかけます。
料理上手なサマイの母の作ったお弁当と引き換えに、
映写室から映画を見せてくれるというのです。
サマイは映写窓から様々な映画を見て圧倒され、自分も映画を作りたいと思うのです。
映写室から多くの映画を見て、映画に魅せられる・・・。
「ニュー・シネマ・パラダイス」を思い出しますが、
インドのこの作品、これはこれで実に面白い。
サマイは、映画は「光」が物語を紡ぐのだと思います。
映画館を離れても、色ガラスの破片や、色のついた空き瓶を通して
風景や人々を眺め、映画を思う。
サマイは頭が良くて、そして近所の子供たちのリーダー格でもあるのです。
仲間たちをも、映画の魅力にひきずり込んでしまいます。
驚くべきは、廃品の中から使えそうなものを寄りだして、
映写機のようなモノを創り上げてしまう。
はじめ彼は、フィルムに光を当ててそのままフィルムを動かしてみたのですが、
それだと全く「動く」映像にならないのです。
そのわけを教えてくれたのはファザルで、
フィルムのコマとコマの間に暗闇がなければならない。
私たちは気づかずに、映画の半分は暗闇を見ているのだ・・・と。
この話、私が知ったのは、なんの本を読んだ時だったっけ・・・?
まあともかく、サマイはそこも工夫して、
なんとか映像が動くマシン(手回しですが)を作り上げます。
スバラシイ!!
サマイの学校の先生は言うのです。
「インドの身分の違いには二つある。英語が話せる者と、話せないもの」
「なにかになりたいのなら、この地を出なければならない」
・・・そうは言っても、チャイの売り上げで日銭を稼ぐ貧乏な自分の家。
そんなことはとてもムリと、サマイは思う・・・。
映画が好きで好きで・・・映画を作ってみたくて・・・。
でもどうして良いか分らない。
そんな少年の憧れ、挫折、何もかもがみずみずしく、そして力強いのでした。
いい作品だなあ・・・。
それと、サマイのお母さんが作るお弁当がと~ってもおいしそうでした!!
<Amazon prime videoにて>
「エンドロールのつづき」
2021年/インド・フランス/112分
監督・脚本:パン・ナリン
出演:バビン・ラバリ、リチャーミーナ、ディペン・ラバル、バベーシュ・シュリマリ
憧れ度★★★★☆
創意工夫度★★★★☆
満足度★★★★★
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