映画と本の『たんぽぽ館』

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大綱引の恋

2025年01月08日 | 映画(あ行)

地域再生

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鹿児島で400年以上の伝統を誇る川内(せんだい)大綱引を題材にしています。

 

35歳独身の有馬武志(三浦貴大)は、東京に進学、大手企業に就職するも挫折し、
川内の実家に戻って来ています。
今は、父の建築会社を手伝っていますが、
大綱引の師匠でもある父から、早く嫁をもらってしっかりした後継ぎになれと言われています。
ある日武志は、韓国人研修医、ジヒョン(知英)と知り合い、心を通わせるように。

またそんな頃、母、文子が定年退職を宣言し、家事を放棄したため、
やむなく武志と父、妹(比嘉愛美)で家事を分担しますが、
母への不満、不信感を募らせていきます。

さて、いよいよ年に1度の一大行事である大綱引の日が迫ります。
この行事の大役の一つを武志は務めたいと思っているのですが、
そのためには役員から選ばれなければならないのです・・・。

 

こうした地方の伝統行事を描くときに、
1度東京へ出て、夢破れて戻って来た若者が登場する、
というのはお定まりみたいになっていますね。
まあ、都会に出たからこそ、地元の良さがよく分るということなのかもしれません。

 

武志は、東京での仕事に失敗したというわけではなくて、
リーマンショックで会社がダメになったためにやむを得ず帰ってきた、
ということではあるのです。
でも、父の仕事仲間や近隣の人々からの人望もあり、
彼なりに前向きに頑張っています。
しかし、父は彼を認めようとしない。
1度自分の会社を継がないで東京へ行ってしまったのに、
のこのこ帰ってきたということが気に入らないのです。

そんな、父と息子の確執を描きつつ、
次第に大綱引の行事へ向けて話は盛り上がっていく・・・。

ただ単に綱引をする、というわけではなく、いろいろな手順や決まり事があって、
まさに、続けていかないとそれっきり途絶えてしまいそう。
見ているだけでも血湧き肉躍る感じになりそうです。

それと、母親が60になったのでおかみさんも母親も止める!と宣言して、
仕事の事務方からも家事からも手を引いて、外出がちになってしまったというのには、
拍手してしまいたくなったのですが、実はそれにも事情があったのでした。

けれどこの家の家事を、しぶしぶながらも他の家族みんなで公平に分担して、
ナントカこなせるようになっていく様は、見事でした。
主婦も、たまにはストライキ、やってみるべきかも。

武志の幼馴染み、典子(松本若菜)は、バツイチの子持ちですが、
実は武志に思いを寄せているらしいのも、ちょっと切なくてステキでした。
自衛隊員、と言うのもナイス!!です。

 

・・・、と、色々見所があって、大綱引というすばらしい伝統行事も知ることができて、
一見の価値ありです。

 

<Amazon prime videoにて>

「大綱引の恋」

監督:佐々部清

出演:三浦貴大、知英、比嘉愛美、中村優一、松本若菜

 

伝統行事を知る度★★★★★

家族愛度★★★★☆

満足度★★★★☆



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