映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

お母さんが一緒

2025年01月18日 | 映画(あ行)

最後まで登場しない母

* * * * * * * * * * * *

本作、舞台がほとんど旅館の一室で、会話によってストーリーが進んでいくということで、
舞台臭がプンプンする・・・と思ったら、やはりでした。

ペヤンヌマキ主催の演劇ユニット「ブス会」が2015年に上演した同名舞台をもとに、
橋口監督が自ら脚色を手がけ、
CS放送「ホームドラマチャンネル」が制作したドラマシリーズを
再編集して映画化したもの、とのこと。

親孝行のつもりで、母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。

長女・弥生(江口のりこ) 
美人の妹たちにコンプレックスを持っている。独身。

次女・愛美(内田慈)
優等生の長女と比べられ、自分の能力を発揮できなかった。独身。

三女・清美(古川琴音)
姉たちを覚めた目で見ている。
今結婚しようと思っているカレシを皆に紹介したい。

ということで、母を伴い温泉旅館に到着したところから物語は始まります。
さてしかし、お母さんは最後の最後まで画面には出てきません。
旅館の別室で過ごしているというテイで、
主に三姉妹の会話でストーリーが進んでいきます。

しかしこの3人と母親は、常からあまりうまくいっていない。
そもそも結婚が失敗だったと、なにかといえば愚痴る母は、
そのほかについても思考がすべてネガティブ。
どんなことにも文句を付け、姉妹らにも優しい言葉をかけたことがほとんどない。

そんな母親の影響が彼女らにも多少あるようで・・・。


長女はなんとも母親そっくりでネガティブ思考。
旅館に着いたそうそう、露天風呂に虫が浮いているとか、
部屋がかび臭いとか、さっそく文句の言い放題。


次女は常にできの良い長女と比べられることに嫌気がさしていて、
長女に対しての反感いっぱい。


三女は少し気楽な存在ではあるものの、
母と姉2人の言動の荒さに、イヤになっている。
結局現在は姉2人が家を出て、自分に母が押しつけられているのも納得できない。
しかしとにかく、せっかく家族みんなが集まる機会なので、
この際結婚したいと思う相手をみんなに紹介しようと、
カレシをこの旅館に呼び寄せるのです。

ポンポンとああ言えばこう言うという姉妹たちのやりとりがとにかく面白い。
しかし、そこまで言っちゃあお終いでしょうというところまで軽く踏み込んでしまう。
普通の友人付き合いならこの時点でアウトかもしれません。
けれどそうならないのが家族なんだなあ・・・。
ついその後には、互いに共感して慰め合ったりもする。
おかしなものです。

 

清美のカレシ、タカヒロ(青山フォール勝ち)がまた
存外にイイ奴なんで、このムコ様は思いがけない拾いものだと思います。

 

<Amazon prime videoにて>
「お母さんが一緒」

2024年/日本/106分

監督:橋口亮輔

原作:ペカンヌマキ

脚本:ペカンヌマキ、橋口亮輔

出演:江口のりこ、内田慈、古川琴音、青山フォール勝ち

罵り合い度★★★★☆

家族度★★★★☆

満足度★★★★☆



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