夢から覚めるとき
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先日授賞式があった第97回アカデミー賞、作品賞受賞作。
ストリップダンサーのロシア系アメリカ人のアニーこと、アノーラ(マイキー・マディソン)が、
店に来たロシア人富豪の御曹司、イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)と知り合います。
2人は次第に親しくなって、彼がロシアに帰るまでの七日間、
アノーラは15000ドルの報酬で契約彼女となることに。
パーティーや、ショッピング、贅沢三昧で遊び尽くした2人。
その勢いで、2人はラスベガスの教会で衝動的に結婚してしまいます。
ロシアにいるイヴァンの両親は、息子が“娼婦”と結婚したとのウワサを聞いて、猛反発。
すぐに結婚を取り消しさせようと、2人の元へ屈強な男たちを送り込んできます。
大富豪のバカ息子と、その贅沢な暮らしにつられてしまった女の子の恋愛ごっこ・・・。
はじめのうちのこんなシーンは、実のところちっとも面白くないのです。
面白いのは、この2人の元に3人の男たちが乗り込んできたところから。
イヴァンの両親の命を受けてやって来たアルメニア人司祭と、その手下。
何も乱暴しようとするわけではありません。
とにかく2人を説き伏せて結婚をなかったことにしようと説得に来た。
しかし、あろうことかイヴァンが自分だけさっさと逃亡してしまうのです。
わけが分からないアノーラはとにかくイヴァンに付いていこうとするのですが、
2人に逃げられてはどうにもならなくなってしまうので、
男たちに取り押さえられてしまいます。
抵抗して大暴れ、騒ぎまくるアノーラに大の男3人が四苦八苦。
高価な置物などが飾られた部屋はめちゃくちゃ・・・。
ようやく落ち着いたところで男3人とアノーラは、イヴァンを見つけ出して話し合うべく、
車で彼の立ち寄りそうなところを探し回ることに。
そこからは、4人のロードムービーのようになっていきます。
そんな中、次第に冷静さを取り戻していくアノーラ。
さて・・・。
乗り込んできた3人の男の中の1人、イゴールは、1人冷静で、
静かに成り行きを見守っているように見受けられます。
ちょっと気になる存在でもある。
そして最後に、ロシアからラスボス到着。
この成り行きは、予想が付いたことではありますが、まったく興味深い。
結局、愛する2人が障害を乗り越えて結ばれる、
などという話では全くないところが気に入りました。
とにかく、楽しめます!!
本作の題名は、ズバリ主人公の名前そのものなのですが、
作中ではほとんど愛称、アニーが使われています。
しかし、終盤でその名前の意味を言うシーンがありまして、そこが又印象深い。
このドタバタ劇が、何やら美しいものとしての印象が残るのは、
この名前故でありましょう。
<シネマフロンティアにて>
「ANORAアノーラ」
2024年/アメリカ/139分
監督・脚本:ショーン・ベイカー
出演:マイキー・マディソン、マーク・エイデルシュテイン、ユーリー・ボリソフ、
カレン・カラブリアン、バチェ・トブマシアン
ドタバタ度★★★★☆
満足度★★★★★
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