映画と本の『たんぽぽ館』

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偽りのないhappy end

2023年07月11日 | 映画(あ行)

ハッピーエンド???

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中学卒業後、故郷の滋賀を離れ上京したエイミ(鳴海唯)。
滋賀で暮らしていた母が亡くなり、エイミは
妹のユウ(河合優実)に東京での生活を勧めます。
ユウははじめ拒んでいましたが、なぜか急に東京へ来ることを決め、
引っ越してきます。
しかし、越してきてまもなく、行方不明に・・・。

そんな中、エイミは同じく妹が行方不明となっているヒヨリ(仲万美)と出会います。

やがて地元の琵琶湖で若い女性の遺体が見つかったとの警察からの連絡を受け、
エイミは琵琶湖へ。
ところが、その遺体はユウではなく、ヒヨリの妹だったのです・・・。

実はエイミが中学を出て東京へ行き、
その後ほとんど実家へは戻っていなかったことには理由があったのです。

それは彼女にとって決して忘れることのできない苦い自分の行動の記憶。
それを思い出したくないから東京で暮らしているのだけれど、
実は自身が東京に居続けることで逆に忘れがたいことになってしまっているのかも知れません。
その記憶と密接に絡んでいる「携帯電話」を、エイミはいまだに持つことができない・・・。

そんなわけで、実質自分の悩みに囚われているエイミは、
妹のことなどこれまで考えたこともない。
何が好きで、どんなバイトをしているのか、友人関係は? 
そしてまたどんな将来を思い描いているのか・・・?

 

一方、エイミよりよほどしっかりしていて大人びているように見える妹、ユウ。
彼女はエイミは自分のことを何も知らないとなじるのですが、
いやいや、ユウも実は姉のことを何も分かっていないのです。
どうして上京したっきり戻ってこなかったのか。

エイミとユウの理解し得ない姉妹関係は、
そのままヒヨリと彼女の妹との姉妹関係と重なるのです。

そして、エイミもヒヨリもあまりにも妹と関わろうとせず
分かろうともしなかった自分自身を責め、気持ちは常軌を逸していく・・・。

 

ハッピーエンドと呼ぶにはあまりにも苦い物語。

 

<WOWOW視聴にて>

「偽りのないhappy end」

2020年/日本/97分

監督・脚本:松尾大輔

出演:鳴海唯、仲万美、河合優実、田畑志真

 

姉妹の断絶度★★★★☆

満足度★★★☆☆



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