スペース (創元推理文庫)加納 朋子東京創元社このアイテムの詳細を見る |
さてと、ようやく文庫のリアルタイム発行に追いつきました。
駒子シリーズの第3作。
前作、クリスマスイブの活躍のおかげ(?)で、
風邪を引き、寝込んで、その後の大晦日。
駒子はある手紙を瀬尾さんに託します。
それは"はるか"という人へ宛てた手紙。
一見、駒子がいつもの調子で、
友人の”はるか”へあてて書いたように思えるのですが・・・。
読んでいくうちに若干の違和感。
さて、これは本当は誰が書いたものなのか。
瀬尾さんがこれをどう読み解くかが見所です。
さて、前2作は、著者が駒子を主人公に据えて書いた物語でした。
だからまあ、当然といえば当然ですが、
駒子についてはずいぶん好感が持てる書き方をしていますね。
やや、おっとりしていて、しかし、
彼女なりのしっかりした価値観をもちつつ、
子どもから大人への変身の渦中。
その悩みどころには共感も覚え・・・。
ところが、今回のストーリーのこの手紙は、駒子が書いたものではない。
すると、手紙の書き手から第三者へあてた文中に登場する駒子の描写が、
なかなかシビアだったりするのです。
そうなのか。
見る人の目が違えば駒子はこんな風・・・。
それは必ずしも、いいところ尽くしではないんですね。
ちょっと著者の冷淡な視線を感じたりもして、なんだか意外です。
スペースは宇宙であり、また、空白でもある。
瀬尾さんは言う。
「僕らの間にはまだたくさんのスペースがある。
でも、こんな風に一緒にいてたくさん話をすれば、
だんだん埋まっていくんじゃないかな。
・・・きっと、近いうちに。」
うむ。
なかなかの殺し文句です。
今時ありえないほどに清いお付き合いですが、
まあ、こういうのも良いでしょう。
それと、この巻で、初めて瀬尾さんのフルネームがわかるんですよ。
そして、彼の落ち込んでいる切ない過去も。
そんな点では貴重な一冊ですが・・・。
やや、構成に懲りすぎという気がしなくもない。
シンプルに楽しめた前作の方が、
おススメかもしてません。
満足度★★★☆☆
どちらかというと、最近は、ビジネス書ばかりを読んでて、こういった作品は縁遠くなってます。
たまには、読まないとだめですよね。
たまには、物語世界に浸るのもいいです・・・。でも、亮さんは映画をたっぷり見ていらっしゃるから、あえて本まで見なくても・・・と、思いますよ。
この3冊の中で読むとすれば、始めの「ななつのこ」でしょうか。
表紙のイラストがいいですよね。
ちょっと女性好みかもしれませんが。
面白かったです。
トラックバックさせていただきました。
ここのところ忙しくて、更新で精一杯という感じでした。やや落ち着いてきたところなので、もう少しあちらこちら訪問したいと思います。
お手数ですが再トラックバックしてくださいますか?
申し訳ありません。
抜けていたようです。
よろしくお願いいたします。