本当に必要なものは
* * * * * * * * * * * *
隣の部屋に住む老婆・八重を助けたことがきっかけで、
彼女の部屋の片づけを手伝うことになった阿紗。
過去に生活雑貨店で働いていた経験から得た掃除のテクニックを
八重に教えながら、彼女の部屋の片づけを始める。
片づけるうちに明らかになる八重の過去。
そして阿紗も、幼少期の荒れ果てた部屋の記憶が蘇ってくるーー。
自分に必要なもの、いらないもの、欲しかったもの、嫌だったもの。
思い出や物と向き合う中で、二人が選んだ道とはーー。
* * * * * * * * * * * *
お片付け小説?
そんなジャンルがあるとすれば、まさしく本作。
阿沙は、となりの部屋に住む八重を助けたことがきっかけで、
彼女の部屋の片付けを手伝うことになります。
八重は、口が悪くてなんともとっつきにくい老婆ではあるのですが、
その部屋のほとんどゴミ屋敷の状況を見て、
頼まれて後に引けなくなってしまったのです。
阿沙は、過去に生活雑貨店で働いていたときの経験から、
掃除のテクニックを身につけていたのです。
すべてを一度にやろうとしないで、ほんの一部分から。
不要なもの、必要なものを仕分けていく・・・。
そんなことから幾日も通ううちに次第に八重のことを知っていく阿沙。
そして実は阿沙自身にも、つらい過去の記憶があったのですが・・・。
不要物であふれた部屋は、これまでの生きてきた証でもあるのでしょう。
でも、今現在を生きていくためには、ほんの少しでこと足りる。
八重は、ごちゃごちゃした不要物を片付けるにつれて、
人生の友、阿沙との絆を深めていったようでもあります。
年齢差はあるけれど、互いに詮索しすぎない距離感で、
友人関係を結べるのって良いなと思います。
「片をつける」越智月子 ポプラ文庫
満足度★★★.5
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます