「デフ・ヴォイス」スピンオフ
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『デフ・ヴォイス~法廷の手話通訳士』で話題をさらった丸山正樹氏、初めての児童書。
「デフ・ヴォイス」シリーズとして、
その後『慟哭は聴こえない』など続篇を刊行中。
本作は、そのスピンオフ版として書かれたもので、
コーダ(ろう者の両親の家庭で育った聴者の子ども)である主人公の手話通訳士の
再婚相手の子ども美和と、
シリーズ2作目に登場する友だち英知の学校を舞台に繰り広げられる。
「水まきジイサン」「図書館で消えたしおり」「猫事件」「耳の聞こえないおばあさん」
などのストーリーが、ミステリーの要素も加わり、少しずつリンクしていく。
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丸山正樹さんの「デフ・ヴォイス」シリーズは、私の愛読書の一つですが、
本作はその児童書版にして、スピンオフ作品。
主人公である手話通訳士の再婚相手の子供・美和が本作の主人公であります。
本編でおなじみの荒井とその妻(つまり美和の母)、
美和のよき友人の英知が登場するのも、嬉しいところ。
朝登校時によく出会う風変わりなおじいさんのこと、
図書館で出会った大切な物を探しているお姉さんのこと、
道ばたで困っていたおばあさんのこと、
猫に毒の餌が撒かれているらしい事件・・・
いくつかの出来事が混じり合いながら進行していきます。
そしてもちろん、美和が手話を使うシーンも。
児童書なので、子どもたちが手話を身近に感じられるように書かれていて、
そして巻末にはいくつかの手話もイラスト入りで紹介されています。
大人のデフ・ヴォイスファンでも、
興味を持って読むことができると思います。
<図書館蔵書にて>
「水まきジイサンと図書館の王女さま」丸山正樹 偕成社
満足度★★★★☆
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