芸術の頂点でなくても、人の心を動かすことができる
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幼馴染みの凛子と鍵太郞は、共に
だるま先生と呼ばれる高校音楽教師の元でピアノを学んでいます。
鍵太郞は、門下生の中でも一番の腕の持ち主で、作曲もこなします。
得意はラフマニノフ。
彼の家は母子家庭で金銭的に余裕がないため、音大に進むことはあきらめ、
間もなく行われるコンクールでワルシャワへの留学特典を得ることを目指しているのです。
一方、凛子は不器用でコツコツ努力するタイプ。
ショパンに憧れています。
音大進学希望。
さてところがそんな時に、あの阪神淡路大震災が起こります。
鍵太郞の母は亡くなり、自身は腕を負傷。
高度な技術を要するピアノは、弾けなくなってしまいます。
コンクールには鍵太郞の代わりに凛子が出場し、
なんと優勝し、ワルシャワ留学特典を得てしまった・・・。
凛子は鍵太郞に申し訳ない気持ちを抱きながら留学し、
数年後、帰国します。
しかし鍵太郞は、すっかり変わり果てていて・・・。
互いに淡い気持ちを抱いていた二人。
しかしこの二人の人生を震災がぶち壊す。
困難もありながら、二人が切磋琢磨して成長していくというような、
ゆるいロマンチックなストーリーを予想していたのですが、意外とシビアでした。
鍵太郞は、ピアノは弾けなくなったものの、
作曲の才能を生かし、とあるピアニスト専属の作曲を行うようになっていました。
しかもその彼女とは愛人関係に・・・。
そんなところへ凛子が帰国。
鍵太郞は凛子への気持ちを残していたのですが、
しかし自分の今の境遇を捨てれば生活が成り立たない・・・。
そんなジレンマに襲われて、凛子にはつらく当たることしかできないのです。
そしてまた、凛子は指に重大な神経疾患を発症し・・・。
芸術の頂点を目指すピアノ。
もちろんそういうものはあるわけですが、
でもそうではなくても聞く人の心を動かす音楽もある・・・。
例えば左手だけで弾くピアノというものもあったりして、
それが聴衆に深い感動をもたらしたりもします。
高校生の時の二人が、寄り添って弾くピアノの楽しさ・・・。
音楽はどんな状況に合っても私たちに寄り添うことができるのだな・・・。
<Amazon prime videoにて>
「にしきたショパン」
2020年/日本/90分
監督:竹本祥乃
脚本:竹本祥乃、北村紗代子
出演:水田汐音、中村拳司、ルナ・ジャネッティ、泉高弘
挫折度★★★★★
満足度★★★☆☆
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