ユニークな成瀬から目が離せない
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2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!
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2024年本屋大賞受賞作です。
主人公・成瀬のずば抜けた個性があまりにもユニークで、目が離せません。
その成瀬のことを、まずは幼馴染みの友人・島崎の視点から語られます。
双方、中学2年の夏休みの始まり。
彼女らは滋賀県大津市の膳所(ぜぜ)というところに住んでいるのですが、
そこにある西武大津店が閉店となる、というのが事の発端。
そのため地元のテレビ局が閉店までの一ヶ月間、毎日そこから中継を行うことに。
そこでいきなり成瀬が、毎日西武大津店に通って中継に映り込もうというナゾの志を立て、
島崎はそれを見届ける役割を受けることにします。
成瀬は頭が良いのですが、どうも発想が人とは異なっていて周囲からは浮いている・・・。
そんな彼女の突拍子もない志に付き合わされる島崎と、
あきれたり感心したりする周囲の人々のことが描かれていきます。
仕方なく付き合っているように見える島崎も、
実は面白くてのめり込んでいた、というところもいいなあ。
その後に成瀬はM-1グランプリに挑戦したり、
高校の入学式には丸坊主で現れたり・・・実にユニーク。
成瀬のあまりの変人ぶりに、この人は若干人の感情には興味がないのかな?
などと思って読み進んでいくと、
最後には成瀬自身の視点で語られていて、
いやいや、ちゃんと繊細で乙女なことが分ってこれもまた感動。
ますます成瀬が好きになってしまいます。
続巻もすでに出ているので、ぜひ読みたいと思います。
「成瀬は天下を取りに行く」宮島未奈 新潮社
満足度★★★★★
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