映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ドリームズ・カム・トゥルー

2008年02月18日 | 映画(た行)
(DVD)
これがまた、そりゃ確かにそうなんだけど~、と不満の残る題名のつけ方。
あの「ドリカム」とはぜんぜん関係ありません。
なんで、DVD作品の題名のつけ方はこんなにひどいのでしょう・・・。
もう少し、凝ってほしい、と思うところです。
中には内容とまるでイメージが違う、詐欺まがいのものもあるので、これはまだましな方ですが。
原題はAkeelah and the Bee。 
アキーラは主人公の少女の名前。
アメリカで毎年行われているスペリングコンテストを、Spelling Beeというのですね。
これは黒人の少女アキーラがそのスペリングコンテストに挑む物語です。
それで思い出すのが同様のコンテストを扱った「綴り字のシーズン」という作品。
これも、原題は「Bee Season」でした。

スペリングコンテストというのは、そう簡単なもんじゃない。
学校予選を経て、地区予選、州予選を勝ち抜き、
そしてようやく全国大会に出場できる。
必然的に最終戦などは非情に高レベルなものになって、大人でも聞いたことが無いような学術的用語のスペルまで求められるのです。
そこで、必要なのは、丸暗記よりは、その言葉の語源になってくるのですね。
ラテン語から来たものか、フランス語から来たものか・・・、
どういう元の言葉が結合してできた言葉なのか、
そういうことの知識が必要。
なので、これも専門的な準備というか学習が必要。
・・・なかなか大変です。
そこで、勝ち抜くにはやはり家族や周りの人たちの理解や協力、
本人の強い意志、そういうことが大事になってくる。
だからこそ、数々のドラマが生まれるわけです。

さて、ここでは少女アキーラはあまり裕福でない家の子で成績優秀。
教師にスペリングコンテスト出場を勧められるけれども、
目立ったりすることがいやな彼女はやりたがらない。
母親は忙しいばかりで、まったくそんなことに関心が無い。
そんな中で、大学教授ララビー博士のコーチを受けることにもなり、次第にやる気が出てきます。

一生懸命にがんばって、周りの人たちの励ましがあって、
ちょっとした挫折があり、そしてまたがんばって決戦を迎える。
とてもオーソドックなサクセスストーリーですが、
だからこそ安心して見られる、感動と癒しのストーリーです。

同じコンテストに出場する男の子がなかなかチャーミング。
思いやりがあってユーモアもあり、なんていいやつなんだ!
君ならコンテストに優勝なんかしなくても立派に人気者で生きていける!
それから、最後に優勝を争う、ちょっといやな性格の男の子。
彼は厳しい父ちゃんにみっしり仕込まれていて、
「絶対に負けられないのだ!」といつも叱咤されている。
かわいそうになったアキーラはわざと負けようとするのですが、
感づいた彼は、「そんな勝ち方をしてもうれしくない」という。
ここでもひそかな友情が芽生えまして、いい見せ場になっています。

余談ですが、アキーラの中学校の校長が
「学校の成績を上げないと教科書代まで削られる・・・」とつぶやいていました。
アメリカの学校評価制度のきびしい現実を垣間見た気がします・・・。
しかし、日本も同じような道をたどろうとしているようで・・・。

2006年/アメリカ/113分
監督:ダグ・アッチソン
出演:キキ・パーマー、ローレンス・フィッシュバーン、アンジェラ・バセット


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