映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

MEMORIA メモリア

2023年06月07日 | 映画(ま行)

音と記憶

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タイの名匠、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督による、コロンビアを舞台とした作品。

南米、コロンビアのメデジンに住む農園家のジェシカ(ティルダ・スウィントン)。
入院している姉の見舞いにボコタを訪れます。
そんな明け方、ジェシカは大きな爆発音のようなもので目を覚まします。
それ以来、彼女は自分にしか聞こえないその音に悩まされるようになります。

そんな中で、ジェシカは建設中のトンネルから発見された
人骨を研究する考古学者と知り合います。
そして発掘現場近くの町を訪れます。
そこでジェシカはエルナンという風変わりな男と出会い・・・。

 

カメラを固定し、長ーいワンシーン、というところがとても多いのです。
それも、セリフの応酬のようなシーンではなく、
ほとんどセリフもアクションもないという。
近頃はちょっとした映像なども早送りで見る方が多いそうで、
私はそういうことはほとんどないのですが、
本作はつい早送りしたくなってしまいました・・・。

しかし、この長さも間も、それこそが監督の意図なのだから、
と自分を納得させつつ見ていきました。

本作は音と記憶についての物語。

「音」自体は、どうかよく分かりませんが、
「音楽」と記憶が結びついているというのは割とありますね。
昔聴いた音楽を今聞くと、当時のことが思い出される。
時にはそれを聴いていたシチュエーションまでが思い起こされたりもする。

そうだ、歯医者で聞く歯を削る音・・・、
これで恐怖感が蘇ったりもしますけどね。

さて、ではジェシカにしか聞こえない爆発音のような音は、いったい何なのか?

もしかするとこれは未来の記憶なのか。
それとも、人類が聞いてきた太古からの記憶なのか・・・?

ラストを見ながら、そんなことを思ったのでした。

 

<WOWOW視聴にて>

「MEMORIA メモリア」

2021年/コロンビア、タイ、イギリス、メキシコ、フランス、ドイツ、カタール/136分

監督・脚本:アピチャッポン・ウィーラセクタン

出演:ティルダ・スウィントン、エルキン・ディアス、ジャンヌ・バリバール、フアン・パブロ・ウレゴ

 

じっくり見よう度★★★★★

満足度★★★☆☆



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