映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「私と踊って」 恩田陸

2015年05月14日 | 本(SF・ファンタジー)
シュール&ノスタルジー&ちょっぴりの恐怖

私と踊って (新潮文庫)
恩田 陸
新潮社


* * * * * * * * * *

パーティ会場でぽつんとしていた私に、
不思議な目をした少女が突然声をかける。
いつのまにか彼女に手をひかれ、私は光の中で飛び跳ねていた。
孤独だけれど、独りじゃないわ。
たとえ世界が終わろうと、ずっと私を見ていてくれる?
―稀代の舞踏家ピナ・バウシュをモチーフにした表題作ほか、
ミステリからSF、ショートショート、ホラーまで、
彩り豊かに味わい異なる19編の万華鏡。


* * * * * * * * * *

ミステリであり、SFであり、ホラーでもある
恩田陸さん真骨頂の珠玉短篇集。
やっぱり好きですね。


「少女界曼荼羅」
なんともシュールで幻想的です。
世界が少しづつゆっくり動いている。
学校の教室も徐々に移動しているので、
受けたい授業の教室が見つからずに困ったり、
道がせり出したり公園が押し寄せたり・・・。
アニメの映像を見てみたい気がしますね。
しかし、これでは一度家を出たらもう帰ることができなくなってしまいそう。
帰宅難民で溢れそうです。


「火星の運河」
火星ではなくて台湾が舞台のストーリーです。
天蓋のように、運河の上を木の枝が覆っているトンネルの中を舟がゆく。
「タイムトンネル」の中を通っているように感じる「私」。
いつしか、舟の中に一人の女が立っている。
それは、遠い昔の故郷の幼なじみ。
その頃、ほんの少し彼女に憧れを抱いていた私は、
いつか将来自分が映画監督になったら彼女の映画を撮ると約束したのだったけれど・・・。
ノスタルジーと悲しみと
ほんの少しの恐怖が交差する、印象深い一作。

「私と踊って」 恩田陸 新潮文庫
満足度★★★.5


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2 コメント

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Unknown (パール)
2015-05-16 21:51:57
恩田陸さんの作品は、どちらかというと、長編の方が好みなのですが、この短編集はとても好みでした。色々な世界を見せてくれながら、つながっている世界に気付かせてくれました。星々の中を進む船に乗りたいなと思いました。
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Unknown (たんぽぽ)
2015-05-17 20:23:38
>パールさま
見たことがないのに、何故か懐かしいような・・・、恩田陸さんの描く世界はそんな雰囲気が漂いますね。
ラスト、「東京の日記」は、予言小説にならないよう、祈ります・・・。
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