映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

WOOD JOB (ウッジョブ)神去なあなあ日常

2015年05月13日 | 映画(あ行)
山の空気感



* * * * * * * * * *

三浦しをんさんの原作は大好きでしたが、映画は見逃していました。


大学受験に失敗、彼女にもフラれた平野勇気は、
ふと林業研修プログラムのパンフレットに目をひかれます。
表紙に写っている爽やかそうな美女の写真につられるように、
研修に参加することにした勇気。
ちゃらんぽらんな18歳男子が、ケータイの電波も届かない神去村で、
荒くれ男たちにもまれながら林業の見習いをするはめに。

しかし、作中にもありましたが、
真っ先に逃げ出すかのように見えながらも、勇気はよく耐えた!!
そこは“表紙の美女”につられて・・・という名目ではありますが、
これが「自然が好きだから」とか「ロハスな生活に憧れて」
などというご大層な動機よりもずっといい。



大好きな本の映画化作品というのは、
時々なんでわざわざ映画化する必要があったのか?と
思ってしまうものがあるのですが、本作はよかった。
ちょっと畏れ多いような山の空気感、
もちろん三浦しをんさんもそこは巧みに表現していますが、
映像ではいっそうそれがよく感じられます。
山=自然=神、そんな図式が、
特に言葉を用いなくても感じられる、心憎い出来であります。
コメディ味も大げさすぎなくてよし。



伊藤英明さんのヨキもなかなか決まっています。
ふんどし姿の伊藤英明さん、そして染谷将太さん、
これが又ヨシ!!
最後のお祭シーンも圧巻でした。

あの大木を倒すシーンなども、チョッピリ感慨を持ちました。
一体どれくらいの樹齢なのだろう・・・。
それを切るのは何年かに一度のお祭の時だけで、その前には禊の儀式もある。
過去から樹を切ることを生業としてきた人々が、
ただ切るだけではなく、大切に樹を守り、育ててもきたのだということがわかります。
都会から来た勇気が、次第に心が都会を離れ、
山の空気に感化されていく。
合わせて職業人としても成長していく様、
清々しく気持ちのよい作品でした。



「WOOD JOB (ウッジョブ)神去なあなあ日常」
2014年/日本/116分
監督:矢口史靖
出演:染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明、優香、西田尚美
山の空気感★★★★★
お仕事小説度★★★★★
満足度★★★★☆


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