映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

さよなら人類

2017年03月25日 | 映画(さ行)
お元気そうで、何より



* * * * * * * * * *

スウェーデンのロイ・アンダーソン監督による
「散歩する惑星」「愛おしき隣人」に続く3部作の完結編とのこと。
う~む、そう言われてもどれも見ていませんが、
でもこれだけ見ても全然支障ないと思います。


曰く、不条理コメディ。
主には、面白グッズを売り歩く冴えないセールスマンの二人の様子を描きます。
断片的にその他の人々のシーンも。
1シーン1カット。
カメラは固定されて、クローズアップも何もなし。
薄灰色の暗い画面の連続。
登場人物たちも皆無表情。
これを最後まで眠らずに見る自信がないなあ・・・などと思っていたら、
暗い画面から妙なおかしみが漂い始めます。



こんな暗い顔をして笑い袋を取り出されても、
買う気になるわけがない。
フラメンコ教師のセクハラまがいの指導に、
美青年は必死に堪えていたけれど耐えられなくなったらしい。

酒場では突然ミュージカルのシーンのようになるし、
カフェには、突如18世紀スウェーデン国王率いる騎馬隊が乗り込んでくる、
なんと乗馬のままで入ってくるのにはビックリ!

そして、終盤には衝撃の残虐シーンがあります。
(結局これは夢のシーンだったようですが)
いや、でもこれは人類が実際に行った歴史でもある・・・。



結局、何度も繰り返される電話のシーンが心に残ります。

「元気そうで、何よりよ・・・」

ろくに感情も込めず、人々は皆この言葉を繰り返すのですが、
つまりはこれが本作のテーマなのかもしれません。
生きにくいことばかりが多いこの世の中だけれど、
とにかく生きて、元気でいられるのなら、それでOKじゃないか・・・。



さよなら、人類 [DVD]
ホルガー・アンダーソン,ニルス・ウェストブロム
TCエンタテインメント


「さよなら人類」
2014年/スウェーデン、ノルウェー、フランス、ドイツ/100分
監督・脚本:ロイ・アンダーソン
出演:ホルガー・アンダーソン、ニルス・ウエストブロム

シニカル度★★★★★
満足度★★★.5


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