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「坂の上の雲 五」司馬遼太郎

2019年07月20日 | 本(その他)

ロシアはなぜ負けるのか

坂の上の雲 五
司馬 遼太郎
文藝春秋

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考えてみれば、ロシア帝国は負けるべくして負けようとしている。
―旅順陥落。
世界の関心は「ロシアはなぜ負けるのか」にあった。
しだいに専制国家としての陋劣さを露呈するロシア、
「旅順艦隊全滅す」の報は、マダガスカル島の漁港に留まり続けるバルチック艦隊にも届いた。
そして最大規模の総力戦、奉天の開戦で両軍は死闘する。

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「坂の上の雲」、第5巻です。
日露戦争について、かなり詳しい考察が繰り広げられていく本作。
バルチック艦隊は未だマダガスカルにいます。
折しも本国ロシアでは革命の動きもあって混乱の中、
何やらバルチック艦隊のことも忘れられかけているような・・・。
何のための苦難の大航海なのか・・・。
読んでいても気の毒になってしまうくらい。
結局、2ヶ月もの間、バルチック艦隊は虚しくマダガスカルで時を過ごしたようです。
その間日本の艦隊は旅順のロシア艦隊を打ち負かした後、
一旦日本へ戻り、秋山真之などは東京に帰ったりもしている。
これはやはり、地の利でしたねえ・・・。

さて一方満州の地ではまた熾烈な戦闘が幕を開けます。
前巻で黒溝台の戦闘が中心に語られましたが、
今度はそれよりも北上して、奉天を巡る争い。
著者は厳しくも、そもそもこの戦争でロシアが負けたのは
ロシアの専制国家という体制のため、と言い切っています。
そしてこの奉天の戦いに関してはひとえにロシア軍指揮官、
クロパトキンの無能さのためである、と。


そもそも軍勢の上ではロシアのほうが圧倒的に有利だったのです。
けれどクロパトキンは攻撃を受けると疑心暗鬼に駆られ恐怖してしまう・・・。
積極的に攻撃を仕掛けていけばあるいは違う結果になったかも・・・ということのようです。
戦争というのはその時々の人的・物的要素で、どのようにも様相を変えていく。
そのような果てに今現在の日本があると思うと恐ろしい・・・。

ようやく5巻を読み終えたところですが、実のところもうギブアップしたい気分。
もう戦争は懲り懲り・・・。
歴史の教科書ならほんの数行の日露戦争。
けれど実際はそう簡単ではないわけですね。
でもせっかくここまで読んだのだし、
バルチック艦隊の行く末も見届けたい気持ちはありまして・・・。
(もちろん、結果はわかっているわけですが)
少し間が開くかもしれませんが、必ず次に行きます(^_^;)

図書館蔵書にて (単行本)
「坂の上の雲 五」司馬遼太郎 文藝春秋
満足度★★.5



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