映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

復讐のドレスコード

2019年07月19日 | 映画(は行)

アイデンティティ回復の物語

* * * * * * * * * *


オーストラリアの田舎町。
25年前、友達の少年スチュワートを殺害した疑いをかけられ
街を去ったティリー(ケイト・ウィンスレット)。
認知症の進んだ母の世話をするために、25年ぶりに帰郷します。
なぜいまさら戻ったのかとティリーに不信感を抱く町の人々。
しかし、ティリーがデザイナーであることを知った町の女性たちは
ドレスの制作を依頼するようになります。
そんな中で、ティリーはテディという青年と親しくなりますが、
プロポーズされても「私は呪われているから」と受け付けません。
そしてある時、ティリーは過去の事件の真相を見出す・・・。

25年前の少年の死の真相。
その時のことをティリー自身覚えていなかったのです。
全く身に覚えのないことだからなのか、それとも、本当に忘れてしまっているのか・・・。
ということで本作はそうしたミステリ作品なのかと思えば、そうでもないのです。
イケメンでナイスバディなテディ(リアム・ヘムズワース)には
思わぬ運命が待ち受けていたりする。
一体この物語はどちらへ行こうとしているのか・・・? 
若干戸惑うところもあるのですが、つまりはティリーのアイデンティティの物語なのだと思います。


ある日突然町からも母からも引き離され、成長していったティリー。
そしてデザイナーとしての腕も技術も身につけたけれども、
何か身が定まらず落ち着かない思いを抱えていたのではないでしょうか。
そもそもなぜ自分が街を出なければならなかったのかがよくわからない。
もしかしたら本当に自分は少年を殺してしまったのか・・・?
不安を抱えたままの自分と対決するために彼女は帰ってきた。


そんな中で事件の真相や彼女の父親の事がわかったりするわけです。
そして、何も見なかった、知らなかった風を装いつつ、
母や自分と接してきた欺瞞に満ちた町の人々。
彼女が自分らしく新たに歩むためには、
恋人も母も亡くし、きっぱりと過去と決別することが必要だったのです。
なんて厳しいアイデンティティ回復への道のり。
しかしそうしてでも守り抜くべきものである、ということか。
日本では劇場未公開。
でもなかなか興味深い物語でした。
1950年代くらいが舞台でしょうか。
その頃のファッションを見るのも楽しかった。

 

<WOWOW視聴にて>
「復讐のドレスコード」
2015年/オーストラリア/119分
監督:ジョスリン・ムーアハウス
出演:ケイト・ウィンスレット、リアム・ヘムズワース、ジュディ・デイビス、ヒューゴ・ウィービング、キャロライン・グッドオール

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿