まさに悪夢の・・・
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1946年に出版されたノワール小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」を原作としています。
過去にも「悪魔の往く町」(1947)として映画化されたことがあるとのこと。
青年スタン(ブラッドリー・クーパー)は、故郷を後にして、
とあるカーニバルの一座と知り合います。
それは、人間か獣か、正体不明の生き物を出し物にする怪しげな見世物興行。
そこにしばらく居着いたスタンは、読心術の技を学びます。
そして、人を引きつけ天性の才能とカリスマ性を武器に、トップの興行師となっていきます。
やがて、上流階級の人々ともつながりをもつようになり・・・。
ここでいう読心術は、無論、実際にテレパシーの技が使えるわけではありません。
巧みに相手を観察し、助手との暗号的やりとりも加えて、
ズバリと相手の思いを言い当てる。
それが資産家相手となれば大金も絡むので、次第にそれは「詐欺」の様相を呈してきます。
スタンは自分の「言葉」によって次第に自分も縛られ、闇に沈んでいく・・・。
そもそも始めから純粋な好青年ではなかったのです、スタンは。
冒頭に、そんなことをほのめかすシーンもあって、
ちょっと油断ならない、謎めいた人物でもある訳ですね。
そして、女たらしでもあるヤバいヤツ。
また、このカーニバルもいかにも不気味ですね。
くも女、全身に電流を流す美女、母親を食い殺した胎児のホルマリン漬け・・・。
中でも、ギークという獣人は、いやこれ、本当は普通の人でしょう・・・?
と思えるのですが、興業時間外も檻に閉じ込められて獣と同じ扱いを受けているのです。
なんだか、イヤーな予感がしましたよ。はい。
そしたらやはり・・・。
闇落ちのラストにうまく繋がっていきます。
ここで見世物になっているのはいかにも作り物で、タネも仕掛けもあります。
それは明らか。
けれど、実はある種の人の心こそが、怪物めいて醜い・・・ということですね。
<シアターキノにて>
「ナイトメア・アリー」
2021年/アメリカ/150分
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、
ウィレム・デフォー、リチャード・ジェンキンス、ルーニー・マーラ
心の闇度★★★★☆
満足度★★★★☆
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