つながるために、闘う
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前篇のあと、すぐに見たくなる後篇です。
いよいよ、新次が待ち望んでいた裕二との試合が行われます。
なんというか、ほとんど喧嘩の延長のような試合。
そして新次は勝利するのですが、なぜか、期待していたような達成感を得られません。
そんなときに、恋人・芳子は去って行くし、
兄弟弟子である健二が別のジムへ行ってしまいます。
おまけに、近くジムをたたむという・・・。
新次には突然足下が崩れていく様な心許なさ。
一方、自身のカラを打ち破ろうとする健二は、
新次との日常を捨て、別のジムに移り、なおもトレーニングに励みます。
そしてついにこの二人が対決することになる・・・!!
この試合がもう、圧巻。
ボクシングのことをよく知らない私ですが、なんだか胸が熱くなってしまいました。
なぜここまで心揺さぶる試合になるかと言えば、
その根に、健二の新次への思いがあるからなのです。
彼は新次と“つながる”ために闘う。
新次は健二のそんな思いがわかるからきちんと応えた。
男と男の、真の心がここで試されている。
さて、この二人の物語も素晴らしかったのですが、
前篇ではバラバラだった他の登場人物のピースが、
ここでは一つ一つあるべき処にはまっていきます。
何かしらそれぞれにつながりというか因縁があったことがわかってくるのです。
単に時間を追って前後篇に分けたわけじゃない。
しっかりと問題提起篇と回答篇という構造になっている。
だからこそ、後篇はとても見応えがあるのです。
見終えたあと、しばし放心状態になるくらい、素晴らしい作品でした。
菅田将暉さんは本作で日本アカデミー賞などの最優秀男優賞を受賞。
それはもう当然と思います。
なんというか彼は、奔放でいて影を持ち、ピュアさとほんの少しの狂気がある。
そして何より花もある!!
どんな役でも一定以上にハマりそう。
今後も楽しみだなあ・・・!!
<WOWOW視聴にて>
「あゝ、荒野 後篇」
2017年/日本/157分
監督:岸善幸
原作:寺山修司
出演:菅田将暉、ヤン・イクチュン、木下あかり、モロ師岡、
山田裕貴、ユースケ・サンタマリア、木村多江、でんでん
青春度★★★★☆
死闘度★★★★★
満足度★★★★★
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