待望の文庫化で
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本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞、
60万人が泣いて笑って感動した大ヒットノンフィクションが待望の文庫化!
人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。
人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧……。
まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、
でも、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。
優等生のぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。
最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。
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ベストセラー図書ですが、文庫化されてようやく読みました。
今さらですが、ベストセラーというのにも納得の名著ですね。
著者ブレディみかこさんは、イギリス人と結婚して現在もイギリス在住。
息子さんが一人。
本作はその息子くんとみかこさんが、息子くんの通う学校で出会った
様々な人や出来事を通して考えたことが綴られています。
エッセイがかったノンフィクションという感じですね。
テーマは「差別」。
息子くんが通うのはみかこさん言うところの「元底辺中学校」。
以前は主に低所得者層の住む治安の悪い地区で、「底辺中学校」だったその学校。
でも今は再開発で、ある程度の収入がある層がぐんと増え、
校長を始め他の先生方の熱心な教育方針が実を結んだらしく、
レベルも上がり、結構人気のある学校に変わっているという。
それを称してみかこさんはいちいち「元底辺中学校」と称するのがユーモラスでもあります。
しかしそういう学校だからこそ、集まっているのは実に様々な子どもたち。
様々な人種間で差別があるのは、まあ、そうだろうなと想像は付きます。
そもそも英国において日本人も差別の対象。
多くは「中国人」と言われて差別されるそうです・・・。
中国人なら差別されてよい訳ではもちろんありませんけれど。
息子くんは一見東洋人っぽい顔立ちだそうで、やはり差別されることもある。
そして、そのような人種間の差別の他、貧富の差がまた大きな断絶を生み出しているのです。
ここの「元底辺中学校」では、そのような差別が生じないように
かなりの注意が払われているようではありますが、
それでも個人間での差別意識はなかなかなくならない。
多くはその子供の親の意識がそのまま投影されているようです。
人は少しでも自分よりも立場の弱い者を見つけ出して、見下すことで、
自分を優位に立たせようとするものであるらしい・・・。
そういう私自身の中にも、そんな気持ちが全くないといえばウソになるでしょう。
だからこそ、常に意識していたい事柄であるように思います。
世界中のすべての老若男女がこの本を読むといいな・・・。
そうそう、このようなことをフランクに話し合えるブレディさん一家、ナイスです!!
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレディみかこ 新潮文庫
満足度★★★★★
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