ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

アジアの花嫁を演じる

2009-06-03 21:36:38 | 地域文化

 菜の花座第20回公演『恨の行方』。

 どうしたって避けて通れないんだ、アジアから来たお嫁さんたちのことは。ここ、高畠町では数百人の規模だから。たかだか2万人の人口でこの数字、これ、絶対無視して通れないよ。いろんな所でいろんな問題が起こってるはず、っていうより、いろんな問題があったから、こういう実態になっているわけなんだ。地域に根ざし、地域を越えるをモットーとする菜の花座としては、一度は面と向かわないとね。

 でも、難しい!何がって、まず、身近にいる人たちのことだってこと。もちろん書いたのは、近しい人のことなんかではない。何人かの人を取材したけど、その人たちと知れる内容は極力避けた。狭い社会でしょ、あれ、あの人のことでない?あの部分私のことかも?って疑心暗鬼が首をもたげやすいんだ。僕としては、書くモノが他人のプライバシーを侵したり、他人に嫌な思いをさせるってのは絶対したくない。だから、いかに身近な人たちから離れるか、苦心した。これが作りにくい一番の理由だ。

 そうなると、どうも、一般論に落ち着きやすい。これをどう超えるか?あくまで、2時間の舞台を緊張感で貫きつつ、彼女たちの抱えている問題をしっかりと忍び込ませる。抽象論や論文にならず、人の体温や息づかいを残す。難しい!ほんと、難しい!

 で、のたうち回って、たどり着いた結論は、いろんな人が自分の立ち位置から、アジアからの嫁について語るという形。そう、十一人の一人語りをつないで、ストーリーが展開する。

 冒険だ!果たしてこんなもん、お客さんが我慢して見てくれるんだろうか?お客さんに生き生きとしたイメージを喚起することできるんだろうか?だって、5分~10分、客席に向かって自分の境遇を語り続けるだけなんだから。それが次々と引き継がれていくだけ。それも、たどたどしい日本語で。それで2時間!やれやれ。

 役者の力量におんぶにだっこの脚本だな、どうみたって。でも、これを裏返せば、役者が技量を高める絶好の機会だってことだ。期せずして役者同士の競争のようにもなって来ているから、これはなかなか面白いかも知れない。日本人しか演じない男優陣には、一人二役ってハードルを設けた。中国人や韓国人やフィリピン人演じる女優陣とバランス取るためにね。

 この劇で唯一、気楽なのは、稽古に人が集まらなくてもかまわないってことかな。各自ばらぱらにしっかり稽古してくれていれば、それでいい。からみなんて一切ないから。みんな、しっかりねぇぇ!

 って具合で、明日ものんびり稽古に出かけることにしよう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする