ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

『ベジタブル!ワンダフル!』

2010-01-14 22:00:03 | 演劇

 置農食育子どもミュージカル2010、ようやく書き始められそうだよ。うーーーん!苦しんだ。さすが4作目だからね、ネタ切れの感強しってとこ。使い切った歯磨きチューブから無理矢理絞り出すようなもんだから、いやはやだった。

 月初めには何となく書けそうな気になったんだけど、二三日経つと、なんかつまらなそ!って放り出す、そんなこんなの繰り返しだった。

 特に、今回は3年生の男どもが抜けて、ちょっと役者陣、小粒になった感は否めないんでね、かといって、前回より詰まらなくても仕方ないってわけにはいかないから、これはもう、悩むわけだ。

 で、また、いつものことだけど、突如、はらりとアイディアの神様が舞い降りてくださったってこと。要するに凝り固まった設定を捨ててみればうまく行ったってことなだけ。おおかたの形が決まると後は不思議とエピソードがぞくぞくと飛び出してくるもんなんだ。まっ、面白いかどうかは、まだよくわからないけど、なんとか、最後まで書き通せそうだ。

 ということで、食育子どもミュージカルの第4作は『ベジタブル!ワンダフル!』野菜のお話だ。若者たちの野菜嫌いが腹に据えかねてたからなんだろうね、こんなテークが飛び出してくるっていうのは。野菜はいいぞ!大切だぞ!って説教を、なんとか説教臭くならぬよう、面白おかしくまとめなくちゃ。そう、明日からが勝負だね。

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技あり!ワークショップ

2010-01-11 09:57:14 | 教育

 置賜地区の演劇部生徒講習会はワークショップだった。講師は甕岡裕美子さん。横浜で子どもたちのミュージカル指導をする傍ら、全国を飛び回ってワークショップを開いている方だ。

 参加者は地区内の五つの高校演劇部員30人ほど。地区大会以来久しぶりの顔合わせだ。どの学校も3年生が引退し新体制での参加なので、部員同士ほとんど交流がない。そんな見ず知らずの高校生たちをあっという間に近しくしてしまうわくわくするワークショップだった。

 僕がメモしたところではワークは16ほど、多分もっとあった、午前中は演劇やコミュニケーションにとって大切な感覚を呼び覚ますワーク。二人一組になって背中を合わせ、お互いの存在を背中を通して感じあうものとか、二人、さらには4人で一列につながり、目をつぶった先頭部分一人ないし三人を最後尾の一人が前の人の肩に置いた両手のみで誘導していくゲームとか。お互いの信頼感や背中や肩に置かれた相手の手に全神経を集中することを身体で学んでいく。

 さらに、言葉に反応するワーク。目をつぶって呼び声を頼りにパートナーを見つけ出す、これは比較的よく知られた方法だ。相手の呼び声に聴覚を研ぎ澄ますことと、しっかりと相手に言葉を伝えることの大切さを学べる。二人で向かい合って両手をつなぎお互いの足を踏みあう競技なんか、寒いときやテンションの下がっているときには効果的かもしれない。

 その他6人ほどが輪を作り、スターターが思いついたプレゼントの品に次々と装飾を加えていくなんてのもあった。これなんか、イメージ喚起力を鍛えるのとお互いが作り上げていくって感じが舞台作りに生かせるって感じだ。

 午後からはエチュード作りだったが、これも、丁寧にワークを重ねながら、チームの仲間が互いにカバーしあうことで一つの情景や物語が生み出されていく課程を巧みに誘導してくれた。

 甕岡さんのワークショップはスピードがあり変化に富んでいて部員たちがぐいぐい乗っていくのが感じられた。寄せ集めの生徒たちを巧みにシャッフルして交流させてくれたのもありがたいところだ。でも、一番大きいと思ったのは、一つ一つワークの後で、そのワークの目的を明確に語ってくれたことだ。演劇にとって何が大切なのか、他者とのコミュニケーションで心がけることは何か、それを感じとるワークを終えた直後の解説はとても納得の行くものだった。

 相手を身体で感じること、相手との距離感覚、言葉を力として受け止めること、集中すること、目を見つめ合うことの大切さ、相手を信じること、心を自由に動かすこと、シーンを作る意識を持つこと、相手を利用するのでなく、相手の支えになること、こういった芝居作りや人間関係を築く上で重要な点を、話しだけでなく、身体を通して感じとらせてくれた。

 ワークショップ終了時の感想では、各グループ代表から充実した時間を持てたことに感謝の気持ちが素直に語られていた。自分が変わったと表現した生徒さえいた。まずは、おおいに効果的で感動的なワークショップだった。

 ただ、無いものねだりの僕としは、この経験がどう血肉化していくのか、ってあたりにワークショップ単発の限界のようなものを感じた。人間ある瞬間に、劃然とわかる!卒然と悟る!ってこともあるには違いない。でも、それが自分のものとして身体化されるにはかなり意識的な努力が必要な気がする。しかも、その取り込み作業を自分に課していくことって、かなり高度で持久力を要する仕事なんじゃないか。

 要するに、人間そうは簡単に変われやしないよってことだ。身も蓋もない!いえいえ、時間と環境ってことなんだ、僕の言いたいことは。人は変わる、誰にも大きな可能性がある、それはほんと!僕も信じてる!!でも、それを開いていくには様々な経験や押し出してくれる周囲の力や絶え間ないアドバイスなんてことが必要なんじゃないか、ってことだ。で、その一つの経験としては大きな意味をもったワークショップだったのは間違いない。でも、それを部員一人一人が自分のものにしていくためには、演劇部の日々の活動があるっとことだ。このワークショップで感じた心地よさ、学んだ事柄を忘れることなく、今日からの活動に取り組もう、って、これが実はとても難しいことなんだよ。

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も一つ全国賞

2010-01-09 21:14:42 | 地域文化

 そうそう、も一つ全国賞もらったんだ、ってどうだいこの余裕は。全国レベルも五つ目ともなるとこうも態度でかくなっちまう。自惚れるなよ。

 今回も食育子どもミュージカルからみの受賞だ。農水省が提唱している『地域に根ざした食育コンクール』の審査員奨励賞に入った。ベスト3でなかったのが残念だけど、まあ、いいでしょ、なんて、またまた。これで、子どもミュージカルは全国三賞受賞ってことになった。うん、ちょっと凄い!まさに石の上にも三年って奴だ。食育ミュージカルも三年続けてここで一気に花開いたってとこだ。

 ところがね、この授賞式が2月13日。これ、『こころを育む活動』全国大賞と同じ日なんだよ。どちらも東京。一方は九段、一方は有楽町だ。時間ももちろんびたっとダブり。しかも、どっちも発表してほしいって言うんだ。いや、弱った、ってちっとも弱っちゃいないんだけど。ただチームを二つ編成しなくちゃなんないってことなんだ。

 それぞれ持ち時間30分と20分。出演するメンバーも違うからどちらも新たに台本作らなくちゃなんない。やれやれって言えなくもないけど、すでに十回以上も上演している作品のダイジェストだから、結構楽しく作れるかな。それぞれ主催者の予算と発表時間に応じて、9名のメンバーを連れて行くことにした。

 行き帰りは一緒に行動、東京では二手に分かれての表彰式出席となる。こんな経験しようったって、そうそうできるもんじゃないよね。今年の3年生は東北大会はおろか県大会にも行けず悔しい思いをしたから、ここで思い切って報われたって感じだ。一所懸命やる、きっとどこかで救われる、こういうことなんだよな。

 東京のダイジェスト版見てもらって、さらにお声がかかる、なんてことないかなぁぁぁ。

 

 

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置農演劇部のヒミツその二

2010-01-03 14:57:30 | 教育

 前回のつづきだ。置農演劇部で三年過ごすと、どうやら凄いことになるって話し。何が凄いかって言うと、①自信がついて、②自分で考えて行動できるようになって、③社会性が身に付いて、④開かれた感性が自分のものになり、⑤健康な身体と逞しい精神を手に入れられる?おいおい、ほんとかい?まっ、過大広告の部分はおおいにあるけど、しっかりやった奴は、たしかにこう言って褒めてやってもいいくらいの成長をとげた。

 じゃあ、それはどうしてなの?って話しだ。

 まず、演劇の持つ教育的効果が大きい。例えばコミュニケーション能力とか、他者との関係の築き方とか、協力の大切さとか、自分の持ち場を作る、なんて側面は、間違いなく演劇の効用だ。それはそれ、以前僕なりにまとめているので、またいつかしっかりと考えをまとめてみたいって思っている、今日は、置農演劇部だからできたこと、について考えよう。

 置農演劇部が他校と違うところはいくつかある。その中で、まあ、これはぜったい負けないね、っていうのが、忙しい!ってことだろう。だって、年間制作本数5本、年間公演回数20回以上だから。ざっと計算して一ヶ月に2回公演してるってことだ。子どもミュージカルの連続公演が大きいけど、2009年度は新しく始めた演歌ショーも入ってきた。今年はさらに演歌ショーの評判が広まるだろうから、公演回数はもっと多くなると思う。もっとも、ボランティア・スピリット賞で一緒に全国賞をとった大阪の芥川高校和太鼓部なんて年間50公演だか、まだまだ上はあるよ。

 で、どうしてこうも部員たちを追い込むのってことだ。ゆとりの中で得られるものも確かに大切かも知れない。でも、無我夢中で突っ走ることで得られることも決して小さくないってことだ。まず、常に目一杯の部分で努力しているから自ずと能力を高めることができる。できない!とか無理!!とか言ってられないからね、次から次と新しい公演が追いかけて来る。新しい役や物作りが迫って来る。こうなると、人間思ってもみない力を発揮するもんなんだ。特に置農に来る子たちには、自分はだめって初めから極小自己評価してる奴結構いるからね、どしどし追い込んでやると、苦し紛れに自分をどんどん突破して行ってしまうんだ。これが一つ。

 それと、忙しいってことは時間がないってことだから、限られた時間の中でなんとかしなくちゃならない。つまり集中することを学ぶってことなんだ。今の高校生、家の手伝いするわけじゃなし、勉強に熱中するでなし、暇もてあまして結局メールでしょ。そんな彼らの時間感覚を打ち砕かれるのが置農演劇部ってことなんだ。こんなに公欠ばかりで、成績落ちたらどうすんの?なんて心配してくれる保護者や担任もいるけど、これが逆でね、一年では赤点ばかりだった奴らが、着実にクラス順位を上げていっている。クラストップも毎年演劇部から出てるしね。

 役者やスタッフとしての技量なんか、間違いなく回数だから。やればやっただけ上達するんだ、高校生の場合は。要するに、超えていく山が多ければ、それを踏み越えて生まれる自信も大きいってことだ。そして、山の頂を踏みしめれば達成感がある。20数回も踏み越えれば、それだけの達成感ってことだ。疲れたって辛くたって、山頂の気持ちよさを知ってるから、努力できる。歩いている時は、走っている時はどんなに辛くっともね。

 次に置農演劇部が力を入れているのが、自分で考えて仕事しろ!ってことかな。置農の舞台見た人はわかるよね、装置やたら作るんだ。衣装とことん凝るんだ。小道具ぜったい手を抜かないんだ。これはもちろん一つ一つの作品を大切にするってポリシーなんだけど、たくさん仕事を作るって意味も少なくない。そう、わざわざ、部員たちにもの作らせる。いろんなこと、経験してほしいんだよ。大工仕事も裁縫も針金細工も、いろんな作業を学ばせたいっ思っている。

 その理由。もの作りって頭の体操でしょ。自分の頭で考えなくちゃものつくれないもの。それから、働き方を覚えてほしいってことも大きい。与えられた仕事をいかに手際よく高い水準でこなすか。全体を取り仕切っていかに効率的にチームを動かすか。これらは上級生の課題。一年生なんかだと、まず働くことを厭わぬ気持ちを作ってやることから始めなくちゃなんない。仲良し同士、おしゃべりしながら仕事するって言うより、口は動くけど手は動かない、なんてざらだから。だから、僕の雷は、いつも、「一人でできる仕事を二人でするな!」だったり、「仕事は探してするもんだ!」って落ちる。

 たくさんのもの作りを通して、部員たちは、働くってどういうことか、世間で要求される働き方って何か、いいや、それ以前に働くこと、動くことが当たり前って意識を身につけて行けるんだと思っている。

 そんな働き方の訓練が、大会なんかでは大いに役に立つ。そして、置農の立込みは凄い!置農の舞台監督はかっこいい!なんて言われるようになった。それって、芝居が素晴らしいって言われるのと同じくらいに嬉しい褒め言葉なんだ、僕にとって。

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