歴歩

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出雲・たたら製鉄遺跡 室町時代の製鉄炉遺構発見

2008年07月12日 | Weblog
 11日出雲市文化財課は、国史跡に指定される田儀桜井家たたら製鉄遺跡(同市多伎町奥田儀の屋敷谷たたら跡)で、室町時代の製鉄炉1基、精錬鍛冶炉3基の遺構が見つかったことを発表した。
田儀桜井家が同地でたたら経営を行う200年前に、同地に別の製鉄集団が存在していたことが明らかになった。
同たたら跡は、田儀桜井家たたら製鉄遺跡の中心で、国史跡の宮本鍛冶山内遺跡の約2.5km東に位置する。発掘調査は昨年10月から実施した。 (同遺跡地は、出雲市から南西方向に約20km、石見銀山跡との中間にある。)
 田儀桜井家は、近世出雲を代表する鉄師で、江戸時代初期から明治時代中期までの約250年間、多伎町奥田儀を中心に活躍した。本拠となった宮本鍛冶山内遺跡には、本宅跡や石垣、鍛冶場、製鉄に従事した人たちの集落跡などが残る。
 確認された製鉄炉(1号炉)は、本床状遺構と呼ばれる下部構造で幅1.6m、長さ4.8m。採取した木炭を試料に放射性炭素年代測定を行い、15世紀前半と判明した。
 精錬鍛冶炉(2~4号炉)は3基で、製鉄炉の東側に1基、地下に2基を確認、すべて1号炉を壊し構築したとみられる。操業は1号炉と同様、15世紀以降と考えられる。
このうち地上の鍛冶炉は、同市佐田町の檀原遺跡などで見つかった炉と同類で、鉄の不純物を流すトンネル状の排滓(はいさい)孔を持つたという。
 市文化財課は多伎町小田の多伎コミュニティセンターで調査速報パネル展を開く。7月13日~31日まで。
[参考:山陰中央日報、毎日新聞]
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浜松市 伊場遺跡群 遠江国敷智郡の郡家の遺跡が確実に

2008年07月12日 | Weblog
 昭和40年代以降、同遺跡群から7~10世紀の古代木簡が大量に出土し、浜松市が奈良文化財研究所に再解読を依頼していた。解読技術の向上により解読が進み、浜松市教委は総括的な報告書を発行した。
伊場遺跡群では、郡の役所、大規模な駅家(うまや)の施設や軍施設など諸説があったが、再解読では、郡の行政命令や郡内の地名、人名が記載された木簡が多く含まれ、これに対し、駅家や軍団施設にかかわる木簡は少なかったことから、敷智郡家の遺跡であると理解するのが穏当とする。
 奈良時代に、現在の静岡県西部は「遠江国(とおとうみのくに)」となり、その中にいくつかの郡ができた。浜松市中西部付近を統括する「敷智(ふち)郡」の役所が伊場遺跡群の中にあったことになる。伊場遺跡群はJR浜松駅から西南1.5kmのところにある。
浜松市では、伊場遺跡群出土の古代の木簡・墨書土器を集大成したものを『伊場遺跡総括編』として販売している。
[参考:産経新聞、毎日新聞、浜松市]
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