歴歩

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岡山県・犬島貝塚 焼成前穿孔土器の一部出土 本州で初、九州との交流示す史料

2008年07月20日 | Weblog
 19日縄文時代早期(約1万年前)の犬島諸島・地竹ノ子島(岡山市犬島)の犬島貝塚を調査していた、「犬島貝塚調査保護プロジェクトチーム」(代表=遠部慎・国立歴史民俗博物館研究員)は、主に九州地方から出土している焼成前穿孔(せんこう)土器の一部が出土したと発表した。
 崩落した貝層の塊の中から見つかった土器の破片1個(縦15cm、横20cm、厚さ1cm)から、土器は直径約35cm、高さ約60cmだったと推定。底がとがっており、側面に対角線上に二つの穴(直径約7mm)があった。
 こうした土器は主に大分県など九州東部と高知県から出土。穴にひもを通していたとも考えられる。
 今回の出土は分布の東端となる。本州での出土は初。遠部代表によると、当時、東から西への物流はよくあったが、西から東へはあまりなかったという。
 九州方面との交流をうかがわせる史料となる。
 8月上旬からの本格的な調査に期待が高まる。

 20日午後1時半から、国立歴史民俗博物館の遠部慎研究員らのグループは、岡山市・デジタルミュージアムで開かれた調査と保護についての市民向け講演会「犬島貝塚の発見―1万年前の瀬戸内海―」で報告をした。
 犬島貝塚は昭和55年、岡山市の考古学愛好家が地竹ノ子島のがけで発見。平成16年ごろから台風で地盤の崩落が始まり、2007年秋、研究グループが保存に向けた調査を開始した。
 これまでに、淡水と海水が混じる汽水域で生息するヤマトシジミと縄文時代早期の山形押型文土器で構成されていることを確認した。
 ほとんどが淡水と海水が混じる汽水域に生息するヤマトシジミの貝殻。
 ヤマトシジミの年代は炭素測定で9800~9600年前と判明。
 温暖化による海面上昇が進んだ縄文海進(約1万1500年前~6000年前)初期の瀬戸内海地方最古級の貝塚とみられ、瀬戸内海の形成過程を知るための貴重な史料とされる。
 汽水域から干潟に移り変わる直前の貝塚である可能性が極めて高いとしている。
[参考: 読売新聞、岡山日日新聞、共同通信ほか]
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