読売新聞が1月30日の[教育ルネサンス]で、センター試験リスニングテストについて特集(?)していた。
記事の論調として、リスニング能力を測る考査としての善し悪しを受験生からの情報を元に考察している…短いが…ちゃんとした、いい(ほめすぎかな)記事だと思う。村井正美記者による。
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記事によれば問題自体は「易しかった」が大勢だったようだ。
自分たち英語教師は、平成16年夏(現3年生が2年生の時)に実施された試行テストを元に考えると、それほど難しくはならない(難しくはできない)と予測していた。これは以下の理由による。
その1
大学入試センター試験作問者は、中高6年間の英語学習を元に問題を作成する。特に今回の受験生は新学習指導要領に基づいて学習した最初の学年である。それほど大きな冒険はそもそもできない。
その2
大学入試センターは実施前年にリスニング試行テストを実施した。試行テストは公開され、出題形式は英語教師や生徒の知るところになった。当時2年生だった現3年生のおおよそ、3万人の受験データも(平均点等)得ている。リスニングテストは最初の実施。やはり大きく出題傾向を変えようにも物理的に無理だ。
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本当かウソかはわからないが、作問者は…漏れ聞こえるところによれば…2年任期とか。一度公表してしまった問題形式の大きな変更は、時間的制約から考えれば、まず不可能だろうという確信めいたものがあった。このことは、今年度の各予備校の模擬テスト、出版社等のセンターリスニングテスト対応問題集等が試行テストとそっくりだということを見ても、はずれてはいないと思った。
…教師も業者も、問題の出題形式・傾向の大幅変更はできっこないとの判断だ。
センター試験にリスニングテストが実施されると決まり、平成17年の始めから夏休み頃までのセンター試験リスニングテスト対応問題集の出版数はすさまじく増加した。どれを見ても、だいたい同じ形式だった。これらを使って普通に準備をしていれば、さほど難しいとは感じないレベルだと予測していた。
大学入試センターの発表によれば、リスニングテストの平均点は50点満点で36.07点とのこと。試行テストや各業者テストの平均得点は、だいたい50点満点で30点くらいだった。これらよりも平均点が高い。これは、受験生の成績の伸びもあるが、模試や問題集のレベルよりもさらにやさしかった可能性もある。問題スクリプトの語数やWPMを調べてみることを考えたい。
平成19年度入試では、おそらくひとつの解答を得るために聴き取らなければならない語数が増えるだろうが、大きな問題の形式変更はないだろう。
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問題について代ゼミと河合塾の関係者のコメントも取り上げられていた。
「設問、選択肢とも素直。読む速度が比較的ゆっくりなため、聞き取りやすかった」(代ゼミ)
「普段から練習に取り組めば十分に対応できる」(河合塾)
受験生からも「文章も短く、単語も簡単なものが多かった」など「易しかった」という意見が大勢を占めた。
受験生も頑張ったのだ。ほめてあげたい。
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大学入試センターは来年度も継続の見通しを示している。当たり前だ。
「リスニング力は社会的にも重視されている。『入試科目だから勉強する』という受験生は多く、トラブルがあったが、続ける価値は十分ある」(駿台予備学校)
…同感である。