年度末にいろいろ資料を整理していたら、以前修学旅行記録集に書いた作文が出てきた。
今日5月15日は沖縄返還(昭和47年5月15日)35年である。いろいろ考えたいので、そのままブログにアップしようと思う。
法律で読む沖縄
昭和46年(1971年)12月31日、ひとつの法律が成立した。
番号 第129号
名称 沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律
この法律をはじめて読んだのは5年ほど前だった。読みながら、自分は沖縄について何も知らないことを自覚し、いろいろ考えさせられた。
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第3条に沖縄県の地位(法律上の位置づけ)の規定がある。
第3条
従前の沖縄県は、当然に、地方自治法(昭和22年法律第67号)に定める県として存続するものとする。
簡単に言えば、沖縄県は他の都道府県と法律上同権限であり、義務を負い、責任をもつ。持てると規定している。
「従前の」の定義は法律には明文化されていないが、普通に考えれば昭和20年に沖縄が米軍に占領される以前の状況をさしていると考えられる。「当然に」という言葉も、不勉強かもしれないが、あまり法律で見かけたことはない。
この条項を読んで、自分の置かれている状況と比較して考えた。
地方公務員である自分にとって、埼玉県の存在は当然であり、日常である。その行政機構の一端を担う職場に自分はいる。そこには何の疑問の余地もない。埼玉県ができる前はどうだったかを、知識としては知っていても、体験したことはない。こんな感覚はどこの都道府県に住んでいても、あまり変わらないのではないかと感じた。都道府県(市町村)の存在など、合併やトラブルでもない限り通常は認識されない。それが法律に書いてある。理由を真剣に考えた。
法律で規定しなければいけないのは、それなりの理由があるからだ。沖縄県は他の都道府県とは明らかに社会状況が異なる。社会システム、経済状況、インフラ整備、法律面、そしてそれらに影響を与える駐沖縄米軍の存在。様々な点で、沖縄県以外では認めがたいことが存在し、受忍限度を逸脱した状況が存在した(する)。だから、法律で他の都道府県と同じであると、わざわざ規定・宣言し、逸脱した部分を許容範囲に近づけることをめざす。そうでなければ、法の下の平等を求めた日本国憲法に反するからだ。僕はそう考えた。
沖縄に初めて行ったのは1990年の英語教育全国研修会だった。今回の沖縄修学旅行は、それ以来通算5回目である。社会のインフラ整備はこの15年で大きく進み、風景は随分変わった。でも、相変わらずのところはそのままである。35年前の法律。この条項に述べられていることは具現化しているのだろうか。沖縄県は本当に他の都道府県と同権限といえる状態だろうか。義務、責任。受忍できる範囲で同じになっているだろうか。どうだろう。
修学旅行、諸君は何を感じたか。どのように思ったか。見えているものの裏に何があるか、考えてもらえたらうれしい。
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この法律の最終改正は平成16年12月3日(法律第152号)であり、現在も有効である。沖縄の復帰は道半ばである。
随分偉そうなことを書いている。。。
これを読んだ生徒は、何を感じてくれたかな。
…そんなことを思った。