平成19年9月10日に開会した国会。総理大臣所信表明演説を読んで、カタカナ語がどうなっているか、1年前と比較しようと考えていた。もう少し後に、エントリを書こうと思っていたけど、安倍総理大臣が辞意を表明したので、急遽まとめることにした。
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カタカナ語は全部で24、そのうち明らかに日本語なのにカタカナで書いてあったものは2あった。
去年と同じく、使っていいと思うもの~避けるべきものを◎〇△▲×(5段階評価)で分類してみた。なお、テキストは官邸のウェブサイトからダウンロードし、セクション分けもそのまま使う。左から、演説登場順/語句/セクション/評価の順である。
1 / 戦後レジームからの脱却 / A / ×
2 / 新しい国創りを再スタート / A / ◎
3 / この内閣がスタートするに当たり / A / ◎
4 / 頑張る地方応援プログラム / B / 〇
5 / 明日へのチャンス / C / 〇
6 / 全国学力テスト / C / ◎
7 / メリハリのある教員給与体系 / C / 日本語:減り張り
8 / 救急の拠点病院及びネットワークの体制 / D / ◎
9 / 保育サービスの充実 / D / ◎
10 / 次の時代を切り拓く新たなイノベーション / E / ×
11 / アジア / E / ◎
12 / 無駄ゼロ / E / ◎
13 / メリハリの効いた予算編成 / E / 日本語:減り張り
14 / 米国同時多発テロ / F / ◎
15 / テロとの闘い / F / ◎
16 / テロ特措法 / F / ◎
17 / インド洋 / F / ◎
18 / 北朝鮮のミサイル発射 / F / ◎
19 / ミサイルの問題 / F / ◎
20 / ハイリゲンダム・サミット / G / ◎
21 / 温暖化ガス排出国 / G / ◎
22 / 省エネルギー技術 / G / ◎
23 / 北海道洞爺湖サミット / G / ◎
24 / リーダーシップ / G / 〇
セクションは以下のとおり。
A はじめに
B 改革の過日を地方の実感につなげる
C 教育再生を具体化する
D 安心して暮らせる社会を実現する
E 持続的な経済成長を実現し、簡素な政府をつくる
F 主張する外交を展開する
G 環境で世界を主導する
H むすび
言葉を見ると随分まともな日本語の演説になっている。
…去年から努力していればね。。。
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9月11日付、読売の編集手帳にも書いてあったけど、1年前、安倍首相の所信表明演説には、、、
「イノベーションの力とオープンな姿勢」
「子育てフレンドリーな」
「テレワーク人口」
「カントリー・アイデンティティー」...
これでもかこれでもかとカタカナ語が使われていた。
特定のサークル(集団)内でしか通じない言葉である、意味不確定・説明不足のカタカナ語を使わず、可能なかぎり日本語で演説をすることは大事である。安倍晋三は日本国内閣総理大臣なのだから、可能なかぎり日本語で意見・主張を行うべきだったのだ。
編集手帳氏も、こんなふうに言っている。
「波乱必至の国会に職を賭(と)して臨む首相は首相なりに、国民が耳を傾けてくれる演説はどうあるべきかを考えたのだろう。
「改造前は“お友達内閣”とも揶揄(やゆ)された政権である。影をひそめたカタカナ語の愛好癖が「書生気質」を脱した証しであるとすれば、遅きに失したとはいえ悪いことではない。
遅きに失していると言う点で、僕は編集手帳氏と同意見だった。
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カタカナ語も少なくなり、日本語化しているものが多くなっている。でも、戦後レジームだけは、こだわりが見て取れる。文分析とか心理学を専門にしている人は、こういうのをどう見る(読む)のだろうか。
使う言葉が変われば、政策も雰囲気も変わる。むやみにカタカナ語を使うことを、僕はよくないことだと思って、前回も今回もエントリをまとめた。
12日、突然の辞任表明。2時からの記者会見でも、戦後レジームという言葉が出てきた。
…結局この人は何だったのだろうか。