全英連参加者のブログ

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東都医療大学(仮称)開校延期について

2007-12-06 05:13:55 | 気になる 大学研究

 東都医療大学(仮称)の開設をめざしていた「医療法人社団大坪会」(東京都世田谷区)は、東京新聞のウェブサイトによれば、教員不足などの開設要件をを満たせず、認可申請を取り下げたということらしい。

 なんでそうなるの?

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 申請を取り下げたと言っても、校舎はすでに建設中である。この土地は深谷市の市有地。おおよそ5,620㎡を、大学側に30年間無償貸与している。また、開校が認可され次第、大学設置経費約21億円のうち5億8000万円を補助(予算執行)することで合意していた。現金は未執行とはいえ、現物供与(土地)で予算執行済なのだ。また、認可をされた場合、執行されるはずの予算5億8000万円が校舎建設費の補助になることが前提ならば、校舎建設もうまくいかなくなる。こんな状況で、開校が最短でも1年遅れることになる。

 学校法人の審査は順調だったが、大学設置についてうまくいかなかったと記事にはあった。

 (1)校舎の部屋の一部を変更せざるを得なかった。
 (2)教員数人が基準に合わず認められなかった。
 (3)学生の実習病院の立地条件や、学生寮などの手配の不備。
  -などで認可の要件を満たすことができなかった。

 なんでそうなるの?

 設置認可が提出されたのが今年の4月。文部科学大臣が諮問機関である、「大学設置・学校法人審議会」に審査を付託したのが5月。同審議会の大学設置分科会が6月と9月の2回、同準備委に要件を満たしていない項目を伝えた。

 5月から審査を始めて、6月には、申請内容の不備を修正しないと認可されないと、指導をしたことになる。それが9月になっても改善されなかったようだ。同準備委は、平成20年4月開校は不可能と判断し、11月に入って申請を取り下げた。

 「規制緩和により大学の開設は一年で可能と判断したが、見込み違いだった」
 教員審査や実習病院について「指摘されて初めて知った」「細かいことは申請書類(のフォーマット)には書いてなかった」

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 嫌な予感があった。
 夏休み頃、この大学の設置準備をしていた法人が、学校説明会を開催した。場所は大宮のデパートのレストランで、夕ご飯時に。
 最初、学校説明会の案内を見たときに、直感として、ちょっと学校法人のすることじゃないなぁと思ったことを覚えている。参加した教員が入試のことを尋ねても、明確な返答がなかったそうだ。もちろん認可前なのであまりはっきりしたことは言えないことはわかっているけれど、「〇〇〇のように申請しています」とか「求める学生像はこれこれです」などの返答があまりなかったそうだ。うまく言えないけど、高校の進路指導部の聞きたいことを理解して、返事をしたり情報を提供したりすることができなかった、何か打てば響く感じがしなかったといっていたのを思い出した。
 法人のコメント(赤字)を見ても、いわゆる大学(学校法人)開設の実務に詳しい人間がいなかった(少なかった)のではないかと思う。なによりも、「規制緩和により... うんぬん」とあるが、それが可能かどうか、ここ数年の医療系新設大学に話しを聞きに行けばわかるはずだ。申請前に文科省の担当部局に足を運んで調べるべきことだし、わからないで申請したのならば、そもそも学校を作ることに無理があったのではないか。

 病院経営法人が何か新しい事業(病院、介護施設等)をはじめるのはかまわないが、学校を作るのであれば、話が違う。新しい学校ができそうだと言うことになれば、高校の進路指導部は情報を集め、条件付きだけど生徒にも話しをする。それが仕事だからだ。また、僕たち公務員組織にいるものからすると、申請を出す前にそれなりに準備をしていると思うものだ。いくら事前規制の行政スタイルの時代から、規制緩和(事後チェック)に行政のスタイルが変更になったといっても、1年で学校ができると思っているとしたら、それはおかしいのだ。

 新井家光深谷市長は「大変残念。100%開校できるよう市としても支援していきたい」とコメントを出している。そうなってもらわなければ、市長も政治責任が出てくるからだ。でも、出来るか出来ないか50% vs. 50%のような気がする。

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 過去のエントリ
 2007.01.03、「深谷に4年制大学-続報
 2006.09.13、「深谷に4年制大学


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