10月28日、第179臨時国会において、野田総理大臣が所信表明演説。
官邸ウェブサイトに掲出された、演説テキストを読んで、いつものようにカタカナ語の分析をする。
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演説は以下の6章から出来ている。
1.はじめに
2.原発事故の一日も早い収束のために
3.日本経済を立て直すために
4.責任ある復興を実現するために
5.確かな外交・安全保障のために
6.結びに~確かな希望を抱くために~
カッコの中にある数字は、演説の第何章で使われたかを表している。(22)ならば、2章で2回という意味である。
以下は使用して差し支えないと思える語である。
アジア(455)(成長するアジア、アジア太平洋地域、アジアの未来)
ASEAN諸国(5)
インフラ(2)
APEC首脳会議(5)
エネルギー(3)(環境エネルギー技術力)
グローバル(4)(グローバル経済)
サービス(4)(行政サービス)
スタート(5)
ゼロ(2)
センター(2)(医療センター)
パーセント(4)(公務員給与の約8パーセント)
プラン(22)(復興プラン)
ビジョン(4)(国家ビジョン)
ボランティア(1)
モデル(2)(最先端のモデル地域)
レベル(5)(高いレベルでの経済連携)
テロやサイバー攻撃(5)
ASEAN諸国、APEC首脳会議という単語は使って大丈夫だと思う。ただし、それぞれの構成国を全部わかるということではない。
インフラ、サイバー攻撃は厳密な意味を説明せよと言われると、下の分類に入れなくてはならないか。
以下はちょっとわかりにくい、わかったようで実はわからないかもしれない語である。
エネルギー(44)(エネルギー構成、エネルギー戦略)
フロンティア(4)(新たなフロンティアの開拓)
エネルギーという言葉は大丈夫でも、その後に「構成」「戦略」と着くと、きちんと読まないと理解できない。フロンティアも演説では、このような文脈で登場している。
この部分には、ビジョンも出てくる。これも場合によっては、言い換えをすべき語かもしれない。フロンティアを新分野、ビジョンを将来像とか未来像等。
新たに設置した「国家戦略会議」では、年内に日本再生の基本戦略をまとめ、新産業の創出や世界の成長力の積極的な取り込みなどを一層推進します。また、原子力への依存度を最大限減らし、国民が安心できるエネルギー構成を実現するためのエネルギー戦略の見直しや地球温暖化対策、新たなフロンティアの開拓に向けた方策など、中長期的な国家ビジョンを構想し、産官学の英知を結集して具体化していきます。
グループ化(2)(中小企業グループ化補助金)
グループならば問題ないが、「化」がついている。この語は、前後を読むと意味は通る。この語も僕は注意すべきと思ったけど、違う人もいるだろう。
仮設住宅に移られた被災者の方々の多くが、働く場の確保に次なる不安を感じておられます。道路や港湾といったインフラを本格的に復旧し、雇用創出の基金や中小企業グループ化補助金の積み増し、就職支援策の強化などにより、被災者のこれからの暮らしの安心を支えます。また、津波を浴びた農地から塩分を洗い流し、漁船や養殖場を取り戻すことにより、土を愛し、豊饒(じょう)な海と共に生きてきた被災地の農林漁業を力強くよみがえらせます。
パートナーシップ、TPP(5)(環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP協定)
TPPについては、用語としてずいぶん認知度が上がったと思うのだが、中身はわかっていない。交渉に参加することを述べている部分である。
より幅広い国々と高いレベルでの経済連携を戦略的かつ多角的に進めます。先般の日韓首脳会談では、経済連携協定の実務者協議を加速することで合意しました。更に今後、日豪交渉を推進し、日EU、日中韓の早期交渉開始を目指すとともに、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP協定への交渉参加についても、引き続きしっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出します。
ワンストップ(2)
ワンストップと上記TPPは前回の演説でも、僕は取りあげて(噛みついて)いる。特にワンストップは、「一カ所ですべてに対応する」と言い換えられると思うのだが。
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人名で登場したのは、米国・オバマ大統領、韓国・李明博(い・みょんばく)大統領の2名。
国名等で登場したのは以下の各国・地域
アラブの春(5)
中東・北アフリカ地域での政変・変革についてのべた部分
タイ(5)
洪水のことを取り上げた部分
トルコ(5)
震災のことを取り上げた部分
南スーダン(5)
国連平和維持活動への参加について述べた部分
国際関係で、2国間・多国間関係を表す語は以下のもの
日韓(5)、日豪(5)、日EU(5)、日中韓(5)
この他こんなカタカナ語もあったが、検討しなかった。
リレー(2)、ドングリ(2)(「早くお外で鬼ごっこやリレーをしたい」、「お友だちとドングリ拾いやきれいな葉っぱ集めをして遊びたい」)
福島の幼稚園児について述べた部分
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全体の印象として、カタカナ語が少ない。たとえを多用し、議員への呼びかけが目立つ。まとめに詩人の作品を引用する。やっぱりこの人は演説が上手である。少なくとも上手に見せる技能がある。でも、あまりレトリックにこだわると、鼻についてくるかもしれない。ACみたいな気もする。
難しい問題である。
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2011.09.15、「第178回国会における野田内閣総理大臣所信表明演説分析」