
仕事で青森に来ているという息子からりんごが送られてきました。箱入りのりんごと言えば、同じ種類が詰めてあることが多いのですが、これは「世界一」「葉とらずふじ」「あいかの香り」「名月」の4種類入っていました。
「葉とらずふじ」の字余りの名前が気になり調べてみると、なるほど納得の説明がでてきました。
通常は、りんごがどんどん色づいてゆく秋に、果実全体に日光が当たるように、果実の周囲の「葉摘み」作業が行われます。そうすることで、りんごの表面がむらなく赤く色づくのだそうです。
これに反して葉を摘まずに自然の状態でりんごを熟させるのが、「葉とらずりんご」なのです。なぜ葉とらずなのか・・・。
ある時、りんご農園主に葉摘み作業を見学にきた人から「おいしくするための作業なのですか?」という質問がありました。おいしくするためでなく、美しくするための作業をしているときに投げかけられたこのひと言が「葉取らずりんご」の誕生のきっかけになったそうです。
思い切って「葉取らず」りんごに挑戦すると、予想したようにりんごは葉の影や色むらが残り、葉摘みりんごと比べると明らかに「見劣り」したそうです。しかし、太陽をたっぷり浴びて葉が作り出す養分を十分に蓄えたりんごは驚くほどおいしかったとか。
こうして、葉の影の色むらこそりんごのおいしさのシンボルだ気づき「葉とらずりんご」が生まれたそうです。それに葉摘み、袋掛けの労働力まで軽減されたというから一挙「三」得のメリットもあります。
さっそく食べてみると中には蜜が入っていて甘く、酸味もあり、味の濃いシャキッとしたおいしさでした。
ちなみに、無袋>有袋 の糖度の差は 1。 葉とらず>葉摘み の 糖度の差は 0.5 。ということで、無袋の葉とらずりんごは、糖度が 1.5 も高いそうです。


私の子供の頃には紅玉と国光、高級のインドリンゴぐらいしか記憶にありませんが、いつの頃からか店頭では大きくて、真っ赤で、美しくつやつやした「見目麗しい」りんごが並ぶようになりました。消費者のニーズや品種改良によってりんごは高級化していったようです。
「 ♪ わたしは真~っ赤なリンゴです~ ♪ 」と歌にもあるように、一番気にするのはリンゴの色。少しでも赤いのを選んでいましたが、これからは「色むら」も選定の基準に入れなくてはと思いました。店頭で「葉とらずりんご」という表示がされているといいのですが。