九州国立博物館が、国内4番目の国立博物館として太宰府に誕生しました。「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」というコンセプトで、開館記念特別展『美の国日本』が開かれています。
福岡市博物館がすでに存在し、国立博物館の設立には賛否両論かまびすしかったけど、いざオープンしてみると、特別展の内容は予想をはるかに越えて、国宝、重文クラスがずらりとそろい、素晴らしく見ごたえのあるものでした。
日本と中国からの3個の金印、慶州国立博物館からの金冠、正倉院御物、永徳の「洛中洛外図屏風」、大和文華館からの「松浦図屏風」、唐獅子図屏風、伝橘夫人念持仏および厨子・・・等々120点あまり。とてもとても3時間では見きれるものではありませんでした。
中国、韓国からの貴重な出品も数多くあり、文化的な交流はギクシャクしてないことが読み取れ嬉しく思いました。
この中で『井真成墓誌』がとても気になりました。墓誌は昨年秋に発見されたものだそうです
キャプションによると、井真成は阿倍仲麻呂、吉備真備らとともに遣唐使として渡唐、そのあと請われるままに唐に残り、明晰な頭脳で玄宗皇帝のもとで活躍。位階も高く、日本に帰ることなく17年間の唐滞在中に36歳でなくなったとか。
それが以前に読んだ辻原登「翔べ麒麟」 (上・下)を彷彿させるものだったので心が騒いでしまいました。芥川賞受賞作家の本ということもあって、読みごたえがあります。
遣唐使として唐にわたりながらも、望郷の念を抱えて大唐帝国の高官として力を振るった若き留学生たち。帰国して豊富な知識で活躍した人たち。鑑真など唐の知識人を連れ帰った人たちなど、当時の国際人の活躍に思いを馳せ、異国の地にロマンを求めて、今また読み直しているところです。
井真成に関するTV放映の情報が入りました。
12月11日(日)NHK 新シルクロード第10集
12月12日(月)TBS 『NEWS23』