TGVを利用して、リヨン駅発でプロヴァンス、アヴィニョンを巡る日帰りのスケジュールです。混雑した朝の駅の電光掲示板を見るとなんと!・・・

8:58発マルセイユ行(下から2段目)に黄色で「retard 50 min.」の無情な文字が!マルセイユ行きが50分も遅れているのです。
日帰りの旅なので、このままだとスケジュールが狂ってしまいます。キャンセル、変更はできないチケットですが、ダメもとで窓口で聞いてみるとあっさりとプロヴァンス経由の別の列車に変更してくれました。「例外のない法則はない」を実感、ほっとしました。日本では当たり前のことですが・・・。予定より8分遅れただけでスケジュールのダメージはなし。まずはクリアです。
エクスアン・プロヴァンスと言えばセザンヌ、サント・ヴィクトワール山が真っ先に頭に浮かびます。石切り場、乾いた石の山、道路際にはたくさんの松。セザンヌとゾラが出てきそうです。
TGVエクス・アン・プロヴァンスの駅で降りると、バスで20分足らずで市街地のバスターミナルに到着しました。

これがひと月前に完成したターミナル。ひっきりなしにバスが発着しています。
複数の旅行者のブログで『中心街へのアクセスが複雑で、もっとも観光しにくい街』と書かれていたので心配していました。夫がバス時刻表で一応アクセス路は確保していましたが、旅行出発直前に『2014年5月2日から新たなバスセンターが完成』という情報をゲット。アクセスが全くシンプルになっていました。2年間もかかる工事だったそうで、これもラッキー!

バスターミナルからほどなく歩くと大きな噴水にぶつかります。ド・ゴール広場、通称ロトンド。向こうにセザンヌの像があります。ここも工事中。

ロトンドからメインストリートのミラボー通りが伸びています。道路の真ん中は車が入らない歩行者天国。マーケット、大道芸人、音楽演奏者、人間彫像?が楽しませてくれます。

セザンヌやゾラも通ったという「レ・ドゥー・ギャルソン」。陽光がまぶしい南の故郷をセザンヌはこよなく愛しました。

通りの真ん中の歩道区分体にはいろいろな出店が並んでいて観光地の実感が。途中でかわいい女の子の服を見つけてゲット。
★グラネ美術館

小さなこじんまりした美術館です。若きセザンヌはこの美術館の中にあったデッサン学校に通い、いくつかの作品を模倣していてそれが展示されていました。
セザンヌは生前ほとんど評価されず、エクスの人たちも彼に冷たかったとか。この美術館に彼の作品が加わったのは没後80年近くも経ってからだそうです。だから出身地の割には作品は数えるほどです。
列車からは遠くサント・ヴィクトワール山を望みましたが、近くに行くことはかないませんでした。道路がかなり混んでいていたのです。
このあたりには、セザンヌの絵でもよく見る松が多く、乾いた石の山、石切り場が目につきます。絵画を思い浮かべながら、ゾラとの楽しい日々をイメージすることができました。
松の丸太や板を使った建築が温かい雰囲気を出して、プロヴァンスが自然に囲まれた街であるのがわかります。
この後、新幹線で20分ほどでアヴィニョンに到着。そこで列車TERに乗り継いでアヴィニョン・サントル駅、つまり市街地に向かうことが出来ました。昨年の旅行者の情報では複雑な「バス移動」のみということでしたが、直前の情報入手で「2014年より列車での市内移動が可能」になったそうで、これまたラッキーでした。
アヴィニョンは中世の城壁に囲まれた街でローヌ川のほとりに開けています。14世紀、70年間にわたって教皇庁が置かれ、7代の教皇の住まいとなった教皇宮殿やアヴィニョンの橋があります。

城壁がぐるりと街を取り囲み、レピュブリク門から入ります。ここから「アヴィニョン歴史地区」が始まります。

門からはプラタナスの並木通りがまっすぐ北に伸びています。

城壁。以前から、なぜかこの「城壁」というものが大好きなのです。ヨーロッパの中世の街にはよく見かけますが、この城壁が韓国の水原(スウォン)にもあり世界遺産に指定されています。
★教皇庁宮殿

日本語オーディオガイドを聞きながらの見学です。日本人観光客が多いのでしょうね。
14世紀初め仏王フィリップ4世は、教会の権威を利用してヨーロッパの主導権を握るべく、クレメンス5世(フランス人)をローマからアヴィニョンに移して支配下に置き、その後70年間続きます。有名な「アヴィニョンの捕囚」です。壁の高さ50m、厚さ4m。「世界で最も強固な宮殿」と言われる所以です。私の頭の中ではずっーと、あの巨大なローマ法王庁と「捕囚」という文字が結びつかずにいました。

内部は仏革命の時に壊されて味気ないほどがらんとしていますが、とにかく広い、広い、そして堅固な建物です。大きな台所では300人分の食事が作られたとか。アヴィニョンは大いに栄えましたが、70年後にグレゴリウス11世がローマに帰還すると、再びのどかな街になったそうです。

窓のこんなだまし絵も旅行者を楽しませてくれます。

旅先では疲れが出るとあまり食が進まなくなります。これは一応前菜のメニューですが、これだけでもお腹いっぱいです。
★アヴィニョン橋(サン・べネゼ橋)

この橋はよく見ると川の途中で止まっています。12世紀には22連のアーチの橋で900mぐらいあったのが、今では4連のみのアーチ橋。戦争、洪水、疫病などでついに修復はならなかったとか。
「♪アヴィニョンの橋で 踊ろよ、踊ろよ~♪」の歌がありますが、幅4mでは輪になって踊るほど広くはありません。

アヴィニョンの橋の上から眺めたアヴィニョンの街。石造りの街は威圧感さえ覚えます。
アヴィニョンの見学は4時間予定していましたが、私の希望で橋を優先したので、夫の行きたかったアングラドン美術館に入れませんでした。入館時間5時30分を3分越えてしまったので入館が断られたのです。もう一組の客もいたけどダメ。閉館までの30分間で簡単に見てほしくないという理由でした。ゴッホの『線路上の汽車』だけでも見たかったのですが。
4枚目のTGVチケットで、アヴィニョン発18時52分、リヨン着19時56分。乗り遅れることもなく無事に一日が過ぎました。