1月1日に意気高く開幕した「没後120年 ゴッホ展」が、九州国立博物館で2月13日まで開催されてます。
オランダのゴッホ美術館とクレラ・ミュラー美術館からの70点。パリで影響を受けた画家たちの絵画、色彩と構図に影響を受けたという浮世絵を合わせれば120点。とても見ごたえのある感動の展覧会でした。
「炎」「壮絶」「アルル」「ひまわり」・・・ときけば、そこにはゴッホしか思い浮かばないほどに人々の心の中に入り込んでいるゴッホ。会場は老若男女で満員でした。
本場オランダのゴッホ美術館でもすごい人気で、各国からの入場者の行列でしたが、日本での展覧会はキャプションが日本語だし、系統だって展示されているので、納得しながら見ることができました。これだけ大量の名画がよくも貸し出されたものだと関係筋の努力に頭が下がりました。
ゴッホは、純粋すぎる愛情や異常なまでの生真面目さが受け入れられず、失意のうちに27歳で画家になることを決意しました。亡くなる37歳までの10年間で、苦悩と情熱と孤独の中で描き上げた2000点もの作品があります。しかし生きているうちに売れたのは1枚だけ・・・(下記に絵を載せています)
今回の音声ガイドは、上記のガイドシートをペンでタッチすると絵の解説が始まり、ヘッドホンの痛みも感じないスグレモノでした。
上の①≪曇り空の下の積み藁≫は1990年7月に描かれたもので、この月の終わりに自ら命を絶ちます。炎の人生は激しく短く燃えつきました。
『僕は作品のために人生を賭け、そのために僕の理性は壊れてしまった』というゴッホへの先入観があるせいか、明るい黄色を使った絵を見ても、どこかもの哀しさがただよいます。ゴッホの絵と人生が同時に心に響き感銘を受け、ゴッホは私が最も惹かれる画家です。
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ゴッホの生前に売れた唯一の絵というのが気になって調べてみると、左の『赤いぶどう畑』でした。
独力で練習に励んだという働く者たちの一瞬の動きのデッサンが、ゴッホ展にたくさん展示されていました。この絵にはそのデッサンの成果と働く者への愛情がにじみ出ていると思います。
売れた時の価格は400フラン。当時パリのカフェのコーヒー1杯が0.25フランだったそうです。
弟テオはゴッホの最愛の家族であり、理解者であり、生涯ゴッホを援助し続けました。1回50フラン~100フラン。ひと月で多いときは200フランも。50フランは今の日本円で5万円。
しかし、テオはある日ゴッホへの仕送りがつらいとこぼしてしまいます。つい口を滑らせた小さな愚痴が、繊細なゴッホの張りつめた心の糸を切ってしまいました。その後たびたび起こる忌まわしい精神の発作に苦しみながらとうとう自殺を図ったのです。
兄として画家としてゴッホを愛し続けたテオも、ゴッホが死んでしまった後、自らの心も死んでしまったかのように精神を患い半年後に亡くなってしまいました。
共同墓地には、ゴッホとテオの墓が永遠に寄り添うように並んでいるそうです。その向こうには麦畑が広がっているとか・・・。