黒田の古文書を読もうと2008年に発足した古文書の会、先の『福岡藩家老 黒田播磨(溥整)日記 ― 嘉永六癸丑年 秘記 御当番 ―』の解読と出版から3年半が経ち、この度『福岡藩家老 黒田播磨(溥整)日記 ー 嘉永六癸丑年七月ヲロシア船長崎渡来之記 弐 ー』が出来上がりました。
嘉永6年は、ペリーの浦賀来航に続きロシアのプチャーチン艦隊が長崎に来航するという日本史にとっても重要な年。佐賀藩と共に長崎警備を担当していた福岡藩にとっては一大事の年です。
家老黒田播磨は急遽長崎に滞在することになり、警備の増強や長崎奉行とのやり取り、江戸藩邸との書簡のやり取り、艦隊の入港の様子、プチャーチン上陸に際しての様子や細かい取り決めなどが記されており、難しいながらも小説とはひと味違った臨場感を楽しめました。
私なんかは末席を汚すくらいであまり役には立っていませんが、解読をまとめ、資料をまとめ、製本の手続きまでを丁寧にこなしてくださる有能で強力なリーダー、黒田古文書会の先達による指導、明治維新学会の先生のアドバイスなどで、170ページに及ぶ本が立派に出来上がりました。
テキストに使っている上記原本の写真版は「露西亜人揚陸 略絵」の部分で、本では下記の右ページのようになっています。
端船の大波止横付けの図、通事、副使、旗持ち従者が80名ほど。使節の「傘ノ上ニ白毛之立物」、従者の「剣付筒」を持ち「足並能く揃」えて行進、「チャルヘラ」や太鼓の鳴り物入りの行列の様子が書かれています。
ちなみに早稲田資料からお借りした資料によるともっと分かりやすくなります。
文字を追うことにばかり気をとられて肝心の内容が把握できていないところがたくさんあります。もう一度この本を見ながら読み直せば充実感が出ると思います。