今回の中東欧旅行で、世界に30数点しか残されていないというフェルメールの絵を5点も見ることができました。どれも日常の風景で、窓から射し込む光、静謐さ、何気ない表情、画面を包む優しさ・・・に吸い込まれてしまいそうです。絵が描かれた年代順は「取り持ち女」「「窓辺で手紙を読む女」「紳士とワインを飲む女」「真珠の首飾り」「画家のアトリエ」となっています。「窓辺で・・・」でフェルメールの「光」が描かれ始めたようで、どれも光は左方向からになっていました。情報によると、「窓辺で・・・」と「取り持ち女」は来年日本上陸とか。またまた話題を呼ぶことでしょう。できたらまた見たいと思います。
旅の11日目。今日はブダペスト発フランクフルト経由で,成田へ向かいます。
一人旅の人、友達同士の人、夫婦、親戚同士の人・・・が参加した今回の旅もいよいよクライマックス。同じバスに乗り、同じテーブルで食べ、親しく会話し、トラブルもなくいい旅でした。
まもなく成田到着という頃、添乗員のS氏に渡されたのが写真のもの。『旅日記』と題する手書きのイラスト入りの12日分の旅の思い出とぽち袋。これも手描きの色つきのイラスト入りで、「また ご縁がありますように・・・。」と5円玉が描かれ、中にはなんと5円玉が入っていました。
いつも旅が終われば、思い出しながら自分で編集していたのが、今回はこの『旅日記』があるからバッチリ!毎日忙しいのにS氏はいつ作成していたのでしょう。
毎晩、翌日の予定を「かわら版」と称して、モーニングコールの時刻、出発時刻、日本へのTELの番号,朝食時間,翌日の旅の注意点・・・など自筆で記入したのを、各人にいただきました。自筆だけにこれだけでも「わーっ、すごい!」と感激していたのに、プロはだしのイラスト入りの旅のまとめまでもらうとは!
それまでは添乗員さんは無事に連れて行ってもらうだけでいいと思っていたけれど、今回のことで添乗員さんも「旅のうち」と思うようになりました。旅の思い出は楽しく心温まる印象深いものになりました。感謝!です。
ところが更に驚いたことは、疲れ果てて我が家の玄関を入ると、なんとそこには,S氏からの「お帰りなさい」のベルリン消印の絵葉書が先回りしていました!! 一人ひとりに小さい字でびっしりと心を込めた旅の疲れのねぎらいを、20数枚も書いたんですね~。もう、驚きと喜びで旅の疲れも吹っ飛んでしまいました。
食事で同じテーブルになった時、何度も行っていると感動しない自分がいてそれが怖い・・・といっていた添乗員さんは、旅行者の一番の思い出になる方法を自分なりに考えて工夫したんですね。成田で税の払い戻しを受ける最後の人が終わるまでずっと待っていたようです。プロ意識が素晴らしいと思いました。これからはこんな風に添乗員さんの個性が出る旅が増えていくといいと思いました。ということで、起承転結、素晴らしい旅でした。
旅の最後の二泊はブダペスト。日本語的にはどうみても発音はよくありません。が、ドナウ川を挟んだ二つの街ブダとペストはとても美しく世界遺産に登録されています。ライトを灯した「くさり橋」は、鎖というより真珠のネックスといった感じで、貴婦人の品格がありました。有名なトンガリ屋根の「漁夫の砦」から眺望した街は絶景です。
中央市場、聖イシュトバーン教会見学。
昼は船上ランチ。ゴシュト号で。
午後はオプション参加。ドナウベントとカフェ·ジェルボ(エリザベートが愛した店)でティータイム。
栄光と悲劇をくりかえしたブダペストの街は、想像していたよりずっとずっと美しくまた来たい街でした。
1日目の夜はオプション参加しました。
郊外の山上レストランでハンガリー民族音楽・舞踊ショーを見ました。ジプシーの音楽はテンポが速くリズミカルで見るほうもつい体が動いてしまいます。最後には踊りの輪に入れられてダンスをするはめに。ワインを飲んでいてフラフラだったけど、プロはやはりリードがうまく、くるくるーっと2回転できて我ながら驚いてます。
ウィーンで3連泊。けっこう旅行者の心をくすぐるスケジュールでした。シェーンブルン庭園内の「グロリエッテ」で朝食。朝からハープを聞きながらの雰囲気ははなまる!美術史美術館のカフェレストランでブッフェディナー。これは珍しい料理がたくさんでかなり美味しかったです。ほうずきのデザートにはびっくり!食べられるんですね。シュヴァルツェンベルグ宮殿でハプスブルグ家の晩餐会。写真はそのときのデザート。感想?うーん、日本人はハプスブルグ家と同じくらいのものを普段食べているな・・・。「フラウエンフーバー」でのザッハトルテのティータイム。甘過ぎ!
ウィーン美術史美術館では、日本で話題をよんだフェルメールの「画家のアトリエ」が戻っていて、私達をまた迎えてくれました。ブリューゲル、ラファエロ等などもう盛りだくさんです。オーストリアギャラリーではもちろんクリムトの「接吻」も見ました。2004年にオープンされたばかりのリヒテンシュタイン美術館とシシィ・ミュージアムにも入場できたのはラッキーでした。シシィとはエリザベートのことです。
ウィーン国立歌劇場でオペラ「ユダヤの女」を鑑賞。ツァー客の一人からあらすじのコピーをいただき、予習していたのが幸いでした。前回来たときはブーツだったので、気がひけて直前にスケジュール変更。それがずーっと悔いを残していたので、今回はそれなりの服を準備してきました。席は上のほうだったけど、それでも満足でした。幕間に、ワインとカナッペを食べていたら、同じ桟敷席にいた現地の人に、安い席の割には上等のものを食べているね?と軽いジョークをいわれました。親しく話しかけてきて日本人に好感を持っているようでした。
旅行日7日までは忘れ物もなく順調!と思いきやまたまたカフェに眼鏡を忘れてしまいました。前回と同じで、気づいたのはホテルに戻ってから。2回とも連泊だったので、翌日取りに行って事なきを得ました。前回は娘と一緒今回は夫と一緒の旅で、違ったのは娘からは怒られ、夫は怒らなかったところです。私に言わせれば、ケルントナー通りのあの一角には魔物が棲んでいる・・・?徒歩でも回れるリンク内は迷子の心配もなく、やはりウィーンは古きよき街です。
「北のローマ」「百塔の町」「ヨーロッパの音楽院」「建築の宝石箱」と呼ばれ多彩な魅力にあふれるプラハ。二度の大戦を経験しても破壊されなかったために、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、ロココ様式の建物が残る美しい街並みです。1992年に世界遺産に登録されています。
夜は、聖フランティシェク教会で、オルガンコンサートを聴きました。バッハ、ヘンデル、ドヴォルザークの曲が、ドーム式天井の音響効果で神秘的に荘厳に響いてすごく感動しました。なるほど音楽は教会から始まったのだとしみじみ実感しました。
その後は二軒のビアホールをはしごして、ピルスナービールの喉ごしを楽しみました。
聖ヴィート大聖堂は1344年に建築が始まり、完成したのは1929年。内部を彩るミュシャ作のステンドグラスは格別の美しさでした。新市街にあるミュシャ美術館でも鑑賞しました。
プラハからバスで3時間。世界遺産登録のチェスキー・クルムロフに到着。途中には雪景色のところも。美しい水辺の古都で、今もその街の建物を大切に保存し、心豊かに暮らしている人々の生活を垣間見ました。
フルボカ城を見学したあとは、隣接の城ホテル「スクテル」で優雅なランチ。デザートがおいしかった!
二泊のプラハ観光を終え、ウィーンに向かいます。
3日目は、ベルリンから180キロのバス移動でマイセンへ。鐘が磁器製の教会とはさすが。ヨーロッパで最も古く、伝統のあるマイセン磁器工房で、製作過程を見ながらなるほど高いはずだと納得しました。
ツヴィンガー宮殿の中のアルテマイスター絵画館でフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」を見ました。
美しい横顔には憂いと気品がにじみ出てとても心惹かれる絵でした。ラファエロ、レンブラント・・・などもう名作ぞろいで時間が足りませんでした。
ドレスデンは、芸術、文化の都としてヨーロッパ中にその名を轟かせたが、第2次大戦で街は徹底的に破壊されたそうです。その壊れた石をひとつひとつ、ジグソーパズルのように根気よく積み直して、気の遠くなるような努力でかつての姿を取り戻したとのこと。今ではバロック様式の美しい町並みになり、世界遺産に登録されています。
世界遺産に登録されたペルガモン博物館は前から期待していたところです。これをどうやって運んできたのでしょう。
どれもスケールが大きくて圧倒され、紀元前の世界に、このような建築物があったことが信じられないくらいです。
ベルリンの壁が崩壊したあとも、壁の一部が残され、世界中のアーティストたちがメッセージをこめて描いた壁画がありました。
ブレジネフとホーネッカーのキスシーンを描いた壁画に思わず笑いがもれました。
テレビで壁が壊される衝撃的な歴史の瞬間を見たときは、民衆のそんな力がまだ信じられませんでした。でも確実に歴史は動いていました。
ベルリンの壁がまだ存在していた頃、厳しい検問を受けて東ベルリンに入ったことのある夫はとても感慨深げでした。あれから15年。ドイツは確実に力強く息づいていました。
ドイツの11月は、スーッと伸びた木々の紅葉と尖塔がよくマッチした美しい秋でした。東ベルリンにあるホテルから眺めた風景には、ドイツ分断の暗い爪痕は感じられず、メルヘンさえ感じられるたたずまいでした。湖と思ったけどどうも川のようでした。やはり大陸は広い。
13日間の東欧の旅からきょう帰ってきました。ベルリン、ドレスデン、プラハ、ウィーン、ブダペストの美術館と世界遺産をめぐる旅で何日間いても飽きない感動の旅でした。教会コンサートや、いい席ではなかったけどウィーン国立歌劇場でオペラ鑑賞も。ヨーロッパの、長い間培ってきた文化を大切にし、いとおしみ、楽しむ姿勢にはいつも考えさせられます。写真はドナウ川に面したブダペストの国会です。明日から旅行記をアップしたいと思います。