この古ぼけた電子レンジ、年齢35歳。引っ越し3回。一度も病気無し。覚えている家族の顔は6人。これがこの電子レンジのプロフィールです。価格は14万円と高かったのですが、1回も故障無しの超スグレモノ。現在の電化製品の見本にしたいくらいです。
当時には珍しくスチーム機能があること、パンの発酵機能もついていることです。ケーキが2段同時に焼けること、茶碗蒸しも10人分が一度に可能なことなどで私の大のお気に入りでした。
ドアを開けると、セラミックのターンテーブルあります。上部のヒーターも料理によってアップダウンするのです。
このヒーターには私の「日本一間抜けな、愚かなエピソード」が詰まっています。「銀行のカウンター」で行員さんが、目をぱちくりしたあの表情が忘れられません。客観的にはとても面白く受けそうですが・・・。時々思い出し笑いをしています。
手動でダイヤルをぎりっぎりっと回すと、自分が器具を支配しているのだというプライドが持てるのです。何よりも長持ちさせているという主婦の誇りも大きいのです。娘の家で最新式の電子レンジを見ても全く心は動きません。
ところが、最近電気製品の劣化で事故が起きるニュースを頻繁に耳にします。だんだん不安になりました・・・。
ガス工事に来た人に「35年」のことを言うと、「丁寧に使われるのはいいのですが、あまり長く使うと製品が劣化して事故につながりますから」とやんわりと「否定」されてしまいました。またまた不安は広がり、プライドと誇りがだんだんしぼんできます。
しかし無傷のレンジを買い替えることにはまだ抵抗があります。いっそ故障してくれたらと願っていましたが、その兆候もなく毎日朝から軽快に活躍してくれるのです。
そこで過去1年間あたりの原価償却値を出してみると4200円。「な~んだ、これなら買い替えても、もう納得の範囲内・・・」と買い替えを決心しました。数字の持つ威力です。記念写真を撮るとちょっと惜しくなりました。
35年間一度も故障しない製品を作った三菱電機に表彰状をあげたいくらいです。
35年前は部品も国産、工場も日本。今のようなデジタル仕様の便利さ、軽快さ、デザインの良さを競う家電以前のものは、機能は単純でしたが故障も少なかったと実感しています。
これでもかこれでもかと技術革新をして、付加価値過剰の商品があふれています。その機能のどれだけが使いこなされているのかしら?使われない機能は、その能力を葬り去られて空しい気もします。
今の若い人はこんな古いタイプの電子レンジってみたことがない人が多いでしょうね~。博物館ものかも。
という訳で新顔の電子レンジがやってきました。操作に慣れるまでは、説明書が手放せない複雑さです。
オーブン使用の第一号作品は、tomokoさんのブログで見たアップルケーキを焼くことにしました。ドイツのホームメイドケーキで≪アプフェル・クーヘン≫というのだそうです。
私の大好きな紅玉が出回りたくさん買い込んでいます。使うなら『今でしょ!』とばかりにさっそくスタートしましたが、「小麦粉が足りない!」と買いに走る間に、軟らかくしたバーターが硬くなっていました・・・。
tomokoさんのレシピみたいにすんなりにはいきませんでしたが、第一号の顔は立てたと思います。
tomokoさんの本物のケーキはこちら。美しさが全然違います。