「博多座」、九州で初めてのあらゆる演劇ジャンルに対応した福岡市立の演劇場として鳴り物入りでオープンしたのが1999年です。
毎年6月は大歌舞伎の季節。初日に先駆けて、出演者が10隻の船で博多川を下る「船乗り込み」も風物詩になっています。
そんな折に娘のところから2枚のチケットが届きました。座席は花道のすぐ傍です。
今回は「中村翫雀改め四代目中村鴈次郎襲名披露」の大歌舞伎で昼の部と夜の部が上演されています。届いたチケットは夜の部で、4時半開演8時半終了の長丁場です。
一、森鴎外原作「ぢいさんばあさん」3幕
二、襲名披露口上 1幕
三、川口松太郎原作「芸道一代男」2幕
勧善懲悪ものでストーリーは単純ですが、歌舞伎はその仕草の美しさとセリフに特徴があります。女形の流れるような動きは、女性では表現できない匂い立つ美しさがあります。
歌舞伎界で中村中車を襲名した香川照之氏の演技もセリフも、数十年の経歴を持つ役者さんにも引けをとらない演技でした。口上の滑舌もよく、人生の大転換を覚悟した強さがにじみ出ていました。そう言えば、口上の時の後ろの幕の絵が上村敦之さんの筆になるものでした。
大向こうからの「おもだかやー」「なりこまやー」「さかさごやー」という掛け声にちょっと元気不足の感も。あの博多山笠の元気があるはずなのに。
合間に二度の休憩が入りこの時に夕食をとります。レストランや弁当販売もあり、なんと歌舞伎座は座席での食事がOKなのです!こんなことが出来るのは歌舞伎と大相撲だけではないかしら?昔からの桟敷席での慣習の名残でしょうか、外人さんはびっくりするだろうな・・・。
大歌舞伎は料金も高めの A席18000円。これを二人で観劇するために自らチケットを買う事があるかしら、ちょっと高過ぎないかなとは私の感想です。伝統をつないでいくためにも重要無形文化財をもっと身近に感じ、もっと楽しめるような環境になるといいと思いました。