11月25日の新聞記事に釘づけ。カラー刷りで宗達の屏風絵と曜変天目が載っています。今、この展覧会が世田谷区の静嘉堂美術館で「金銀の系譜」として開催されているのです。行きたい!
今年もいろいろ難題のスケジュールをこなしホッと一息ついていたので、話はすぐにまとまりました。今回行ってみたい所を静嘉堂、旧岩崎邸、三菱一号館美術館、千葉県佐倉市のDIC川村美術館に絞りました。
先ず静嘉堂へ。田園都市線二子玉川で下車、バスで10分。5分ほど樹木の坂道を歩いて行くと東京とは思えないほど静謐な別世界、静嘉堂に導かれます。
左のリーフレットは12ページに亘って丁寧に解説がなされさすが静嘉堂と感心するばかりです。
「宗達・光琳・抱一を巡る美の世界」と副題しているだけあって、100年おきに現れた3人の芸術家の作品が分かりやすくまとめられています。
10年ぶりの公開という宗達の「源氏物語関屋・澪標図屏風」は、金・緑・白が目立つ色彩効果の鮮やかな源氏絵です。
心惹かれたのは抱一の「波図屏風」。銀地屏風で墨のダイナミックな線で湧きあがる波を描き、よく目にした優美な絵とは違った抱一の豊かな才能を見た思いです。
光悦の「嵯峨本」も展示されていました。角倉素庵と協力して出版した『通小町』。光悦と宗達になる「新古今和歌巻」も。
色あせてはいましたが、辻邦生「嵯峨野明月記」の主人公3人を彷彿とさせるものがあり嬉しく見入りました。
前回訪れた時は展示されていなくて涙をのんだまぼろしの「曜変天目」。世界に現存する曜変天目3点の中でも秀逸とされる静嘉堂の至宝です。10月に見た藤田美術館の曜変天目よりも曜変が多く鮮やかでした。薄暗い展示室でなく自然光が注ぐロビーに展示されていたので心置きなく見ることが出来ました。
全部で40点。質の高いすぐれたものを数少なくゆっくり見るのが、私には一番合っている鑑賞法です。
「静嘉堂文庫美術館」は三菱歴代社長の岩崎彌之助、小彌太父子が収集した国宝7件、重文83件のほか20万冊の書籍、6500件の古美術があり、東洋文化の一大宝庫として高く評価されています。
翌日に千葉県佐倉市の川村美術館を予定していたので、JRのアクセスと乗り換えに便利な宿を秋葉原に取りました。話題沸騰の電気街とは反対側にある駅から歩いて1分のホテル。ANAのフライト+ホテルだったので部屋も広く清潔で快適でした。団体客の喧騒にもあわずにラッキー!
夜は外人客にもっとも人気のあるという浅草へ。
夜の仲見世通りはすでに閉店でシャッターが下りていました。何十年前かに訪れたきりだったので、通りの形は変わらなくてもこぎれいに整備されていて随分垢抜けしている気がしました。
仲見世も雷門も外人客を意識してかきれいに整備され掃除も行き届いています。
寺院の朱色、屋根の美しい反り具合、木造建築、境内の樹木・・・と外人客にはエキゾチックで魅力的な観光名所になるのがわかります。昼間の人ごみの喧騒にもあわずライトアップされた静かな浅草を散歩することができました。