萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

花木点景:花、2015.spring

2015-10-16 08:46:16 | 写真:花木点景
To me the meanest flower that blows can give



花木点景:花、2015.spring

今年の春花をまとめてみました、上は早春の森といえばのカタクリ。
たいして下は氷の花、迎春の厳寒が咲かせる氷の造形で山だと見られます。



カメバヒキオコシという山野草があるんですけど、茎中の水分が凍って膨張→破裂しておきる現象です。
この写真ふたつとも2015年1月11日の三頭山@奥多摩で撮りました。



常緑の椿は年越の花、冬に先駆けて春を告げてくれます。



睦月、一月の小春日和に蝋梅は咲き初めます。



如月、二月は節分で春を迎えますが関東地方は雪が多いときです。



雪に霙にうたれて咲く白梅は寒さにも春やわらげてくれます。



雪どけの福寿草。
この黄金色が咲くと日照時間の長さ感じられるときです。



弥生、三月の雪わる萌黄、ふきのとう。
天ぷらが美味しいんですけど、笑



早春の山咲く木花たち。
吐息まだ白い三月初め、弥生の名ふさわしく山野に花芽は生えだします。



まだ冬枯れた山は小雪が舞います、が、枯枝に見えても小さな花つけだす時です。



キブシ、木五倍子と書いてキブシと読みます。
別名に木藤キフジ、そのとおり藤の花とよく似た花房は可憐です。



春も山は雪が降ります、軽アイゼン+ゲイターは持参して無難です。
奥多摩でも4月に積雪があったりします、下の写真は2014年4月の三頭山・東京側斜面です。



雪どけから花咲く春、山は野生獣たちが冬眠明けの空腹を満たすときです。
この時季は痩せているためスピードも速く、イキナリ鉢合わせすると驚いて襲ってきます。
熊鈴は必ずつける&撮影時などの隙は特に要注意で事故を防いでください、山は自助=自己責任なので、笑



スプリング・エフェメラル、春の妖精と呼ばれる花たちも弥生に芽ぶきます。



関東では三月下旬、この写真たちは2015年3月20日あたりです。



片栗、カタクリはスプリング・エフェメラルの代表花。



あわい赤紫色に細やかな茎、特徴的な斑の葉、気品ある花姿で人気があり盗掘による絶滅も危惧されています。



山野の花は移植が苦手、というかまず失敗します。
それくらい植生条件が限定的です、土壌の菌類との相互扶助なんたらアレコレあるので、笑



春あさい森は木に葉がありません、そのため地表まで届く日光が花たちを咲かせます。
なので葉が茂りゆくレベルごと花の種類も変ってゆくわけです。



雪が雨にかわるころ、森の底では落葉から蕾のばし花咲きます。



スプリングエフェメラルの芽は落葉の下、そのため知らず三脚などで潰してしまう危険大(!)
なので花を見ても近寄らないこと、カメラの望遠きっちり利かして道から撮ってください。



芽をつぶせば花も葉も開かず光合成ができない→枯死→今春どころか来春の後も咲かなくなります。
そんな儚さもスプリング・エフェメラル=直訳「春はかない幻」と呼ばれる由縁の花たちです。



三月といえば桃の節句、いつも見に行く桃林は夕暮と映えます。



三月の末、春の日長になると枝垂桜が咲きだします。



桜の現在スタンダードは里桜の染井吉野。



薄紅やわらかな一重咲き×花一斉にひらく豊麗はみごとです。



染井吉野は桜のなかで樹齢が短いです、その短さが満開の華あでやかに想えます。



下も桜です、八重桜の一種で緑→黄色→薄紅ぼかしと花色が変化します。



萌黄×薄紅が禁色、天皇や皇族だけに赦された特別の衣色と似ていることから「御衣黄」と名付けられた桜です。



八重桜が咲くのは染井吉野が終わるころ、卯月。



4月の半ば、染井吉野も八重桜も一斉に咲く山があります。
春酣おだやかな花の森は昼寝したくなるカンジです、笑



晩春、夏をよぶ春野花



卯月、4月の森は海老根蘭エビネが色さまざまに咲かせます。



小鳥が飛ぶような小花たち集まる花、この個性的な姿が人気で園芸種も多くある山野草です。
その一方で絶滅が危惧されています。



エビネは生育条件が気難しい花です。
植物ウィルスに感染しやすく、そのため盗掘や撮影で踏みこんだ靴底から汚染されます。



下は黄海老根キエビネ、関東での自生は稀です。



森の底、陽だまりに花弁は黄金に透けます。



宝鐸草ホウチャクソウ、あわい早緑の花と翡翠細工みたいな葉がきれいです。
この花が咲く森は芳香がします、白檀みたいな香です。



山吹草も四月の野花、群落なす山吹色は森に燈火ゆらします。



ちいさな客が朝露を飲みにきていました、笑



水仙は和水仙がいちばん好みです。
一月から咲きだす花ですが↓これは4月の山里にて、朝陽×朝露ひかる野辺の花です。



山芍薬が咲くと春も終わり、夏が近いです。



ヤマシャクヤクは花期が短くて、だから見つけると幸運キタってなります、笑



そして卯月おわるころ、金蘭が夏の陽みたいな黄金色ひらきます。



【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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