順序が逆になりましたが、蚕の成長をまとめてみました。全部芋虫とガの写真だけです。あしからず。
8月11日、10匹の蚕をもらってきました。
昔は周桑平野ではその名の通り養蚕が盛んだったと聞いています。地名に桑村とか桑の木というのが残っています。農家にとって蚕は現金収入を得られる大切な生き物だったそうです。お蚕様と呼んで大切に世話をしたそうです。
当時の名残はあちこちにあって、散歩道にも桑の木はありますし、レモン畑の端っこ、多分境界代わりに残しているのであろう木もあります。けれど、そういう木は果樹園の農薬が飛んでこないとも限りません。だからうかうかと食べさせるわけにはいかないと思いました。
幸い実家には母が実を食べるために植えた木がありましたし、われらが植物大先生のKちゃんの畑にも無農薬の木があるというし、桑の葉をスムージーにして飲んでいるという人もいるしで、餌は十分手に入りました。
翌々日 (8月14日)
この日Kちゃんが大量の桑の葉を枝ごと持ってきてくれました。けれど、
朝から蚕の様子が変だというのです。餌を食べないんだとか。
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葉っぱを食べず頭をもたげて何やら探すようなそぶりでした。これはもしや?
繭を作るときにそういう動作をすると、博物館の館長さんから聞いていました。しかもおしりから糸を出しているのもいます。
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念のため、繭を作る枠を入れてやったみたいです。けどちょっと早いよね、21日ごろだと思ってたのにーと娘。
枠の中で・・・
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この写真、よく見ると・・・・おしりのほうに何かくっついています。洋服を脱ぐみたいに何かを脱いでいる最中なのでした。 蚕は脱皮をしていたのです。蚕は最後の終齢虫になりました。
きれいに脱ぎ終わった殻。 その上にあるのが「おめん」というやつかな?
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脱皮している間餌を食べなかったものだからー
夕方にはせっかくの桑の葉がしおれてしまいました。
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この日娘たちは出かけるので、とりあえず外に置いてあったメダカの水替え用の箱に枝を突っ込んでおきました。桑の葉って、ちっとも水をすわないのですね。昔養蚕農家が朝早く葉を摘んできては蚕に与えていたというのはこういう訳だったんだと思いました。
またまたとりあえず、下のほうのかろうじて生きのよかった葉っぱだけを与えて翌日、今度は娘が直接採集に行ったみたいです。冷蔵庫の野菜室は桑の葉に占領されていました。
8月15日
脱皮の終わった蚕たちの食べること食べること。見ていて気持ちのいい食べっぷりでした。
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館長さんから、蚕は繭をとるために人間が改良を重ねてきた生き物だと聞きました。だから自然の環境の中では生きられないんですって。野生の芋虫たちは人が見ていると動かずじっとしていることが多いように思います。葉っぱや茎の陰でひっそりと身を守っているのですから。でも家畜化された蚕は人が見ていようが見ていなかろうがお構いなしに食べていました。
顔がー 新幹線みたい。
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8月22日
1匹が葉っぱの中で繭になっていました。
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トイレットペーパーの芯で作った部屋に入ろうとしているのもいます。
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すでに繭を作りかけているのも
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作りかけの薄い繭から蚕が盛んに頭を振って糸を出している様子も見えました。
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8月23日
7匹が繭になりました。
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まだうろうろしているのもいます。
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翌日にはすべて繭を作りました。中で繭を作り続けます。そしてさなぎになると振ったらからからと音がするのでわかるそうです。
産業としての養蚕はこれで終了。繭は冷凍庫に入れられて死んでしまいます。そのあと茹でて糸を取られるのです。
お蚕様として大切に育てられたものの、最後は美しい糸をとるために殺される・・・人に利用されるだけの一生は哀れなようでもあり、どうせ成虫になったところで飲まず食わずのまますぐに死ぬのだから、十分に役立って死んでくれた蚕たちはさほど悲しい一生ではないのかもしれないし・・・
私と娘は蚕を飼うにあたって話し合ったことがあります。それは、繭ができたあとの蚕をどうするかということです。わずか10個の繭から取れる糸はほんのわずかでしょう。なにかまとまったものでも作れるというならともかく、自分の好奇心を満たすためだけに殺すのはやめようと。試しに糸を作るならとぎれとぎれにはなりますが穴の開いた繭でもできそうです。
羽化したガをどうすればいいかも館長さんにお聞きしましたが、家畜として長い年月をかけて改良されたかいこは野に放しても生きられないということでした。
9月4日
第1号が羽化しました。しかしこれは真っ先に葉っぱにくるまれて繭になったのとは違います。オスのほうが早く羽化し、あとからメスが出てくるそうです。繭第1号はメスかもしれません。
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美しい、リボンのような羽をもったガでした。ウマオが、「ぼく、蚕が一番(好き)になったと言いました。
このおしりの形。羽化第1号はやはりオスのようです。
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穴の開いた繭
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9月5日
メス1号誕生 メスはお腹がぷっくりです。
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交尾をはじめました。
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メス2号はオス2匹で奪い合い
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9月6日
産卵を始めました。
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産んだばかりの卵は透き通ったクリーム色。 お菓子のグミのようでおいしそう。
産卵は翌日も続きました。と、ここで昨日の記事に戻ります。
先にも書きましたが、羽化してからの蚕は飲まず食わずで、子孫を残すと死んでしまいます。
かいこの飼い方パンフレットの最後には
「たくさんのことを教えてくれたかいこに感謝して、土にうめてあげましょう。」とありました。
蚕や養蚕について少しばかりは知っていたつもりでしたが、御記事拝読しまして、とてもリアルで分かりやすく、文章にも感じ入りました。
日本での養蚕はその蚕の種が家蚕なので、自然の中では生きていけないのですね。
中国やアジアの国々では山繭や野蚕と呼ばれる種もありますね。シルクの生地になりますと、やや黄色に近く感触もやや堅く感じます。
私宅の家業が糸へんのシルク関連なので、つい由なしことを連ねてしまいました。
どうも有難うございました。それではまた。
桑の葉枝ごとバケツで保存は駄目なんですね
水揚げしないんですか
毎日桑の葉を調達しないとダメなんですね
桑の葉の食べっぷりも見事なんですね
蚕は人間の都合の良いように改良されてるんですね
野生では生きていけないなんて知りませんでした
沢山の卵を産んで一生を終わるんですね
実はうちにはヤママユの繭もあるのです。あの緑が大好きで、野蚕の糸で織られたタイシルクの布の切れ端を今も持っています。
美しいシルクは大好きですが、野村シルク博物館訪問で蚕のことを教えてもらい、人と蚕との関係にも考えさせられました。
私が飼育したわけではないので断片的な記録ですが、なかなか興味深かったです。知らないことだらけでした。それに、桑の葉にはおまけの話があるんですよ。