夜、アトリエで作業をしていると、キキキ カリカリとなんだか金属をひっかくような音。
窓には灯りに惹かれていろいろな虫がきています。 小さな蛾をねらってヤモリも出てきます。 ヤモリが鳴いてるのかしら? カブトムシだったらドーンと大きな音をさせて網戸にぶつかるのだけどー。
何だろうと外に出てみました。 アトリエと言ってもね、単なる古いプレハブ小屋なんですよ。 その粗末な壁の上の方にいたのは
まぎれもなく雄のカブトムシ。 ああ、小さい子どもでもいたら喜ぶのでしょうが。
手近な棒きれでつついて無理矢理下りてきてもらいました。
捕まえてみると意外に力が強い。 隙間に角をつっこんでがむしゃらに指の間を突破しようとします。ところがひっくり返るともうそれまでで、足をじたばたさせるだけ。起きあがれません。ときどきカブトムシがひっくり返って死んでいるのを見つけるのですが、勢い余ってひっくりかえってしまい、そのまま起きられずに弱っていったのでしょうね。
元気なカブトムシは朝には土にもぐり込んでしまいます。
以前勤めていた学校では、木のそばに街灯があって、そこにカブトムシが飛んでくるようでした。それをよく知っている悪童がいて、毎朝木の根っこを掘り返すものですから、ついに木が弱ってきました。 それで注意すると、今度は掘り起こしたあと、土をかぶせてくれるのはいいのですが、きちんと元通りにするわけではないのでますます弱ってくるのです。
こんな愛すべき悪童も、今では少なくなりました。 そして欲にくらんだ大人が、カブトムシの住む環境を破壊してまで捕らえていったりしています。
巨大カブトムシ!
これ、カブトムシが大きいんじゃなくてスイカが小さすぎるんです。
もう枯れてしまった蔓に直径10センチほどのスイカがくっついていたので、取ってみたのです。 安定性の悪いスイカにしがみついて情けない格好に見えます。
いえ、写す角度を変えて勇姿に見えるのもあるのですが、いかんせん、背景がねえ。 台所のごちゃごちゃがあまりにも見苦しいので、お見せできないのですわ。
近くにクヌギ林もない田園地帯で育ち、カブトムシを捕るために夜中や早朝にでかけていったりしなかったよい子 のわたしは、カブトムシに対してはとりたてて思い出がありません。 話はそれますが、一度昼間に遠くの松林に出かけていってクワガタを捕まえたことはあります。 素手で持ち帰る途中に指を挟まれて、その痛かったこと。 だれもどうもできず我慢しながら歩いていると、どこかのおじさんがはずしてくれました。 平和な世の中でした。
それでカブトムシの顔なんてしみじみと見たことがなかったのですが、せっかくですのでじっくりと見せてもらいました。
不気味なようでいて意外と可愛い顔ですね。垂れ目とたこ口がご愛敬です。 このあと、スイカごと外に出していたら、朝にはいなくなっていました。
スイカに少しかじった跡がありました。 ここからクヌギのあるところまではかなり遠いと思うのですが、無事にたどり着けたでしょうか。